【東京支社】国際リニアコライダー(ILC)計画は、日本での建設検討が継続される方向となった。推進する国際研究者組織は、態度を明確にしてこなかった日本政府が初めて「関心」に言及し、安堵(あんど)が広がった。一方、成否を左右する欧州の次期素粒子物理戦略(2020~24年)の検討が今後本格化する中で「残された時間は少ない」と焦りも交錯した。

 国際将来加速器委員会(ICFA)が夕方開いた記者会見には、大勢の報道陣が詰め掛けた。リニアコライダー国際推進委員会(LCB)の中田達也委員長は冒頭で「ILCに初めて、日本政府の立場を直接紹介いただいた」と前向きな受け止めを述べた。

 ILC計画を巡っては、文部科学省の検討依頼を受けた日本学術会議が昨年12月、巨額の経費負担が明確でないなどと複数の課題を挙げ「現状では誘致を支持するに至らない」との回答書を提出。7日の政府見解も厳しい内容を懸念する研究者もあった。

 それだけに、会見を傍聴した東京大素粒子物理国際研究センターの山下了特任教授は「日本政府が初めて関心と、省庁横断で取り組む姿勢を示したインパクトは大きい。行政のプロセスとしては前進だ」と受け止めた。

 一方、研究者サイドが期待した誘致表明はなく、ICFAのジェフリー・テイラー議長は「会議内では残念との声もあった。今後のスケジュールが遅れるかもしれない」と懸念も口にした。

 ILCは技術面でほぼ確立されている一方で、世界には複数の大型加速器構想が進められており、村山斉(ひとし)・米カリフォルニア大バークレー校教授は「ILCの検討期間がさらに延びることで、(日本の建設を支持する)欧州側がどう動くか読めない部分がある」と危機感を強めた。