日本三景の一つ、京都府宮津市の天橋立近くの籠(この)神社(海部穀成(あまべよしなり)宮司)で、山田町大沢出身の清水野佑季(ゆうき)さん(25)が神職を務めている。東日本大震災で傷ついたまちを活気付けた祭り、住民の心のよりどころとなった社(やしろ)-。被災地で神社の力を体感し、強い思いで神道の世界に入った。震災から8年。将来は岩手に戻ることも思い描きながら、伝統ある神社から古里の安寧を祈っている。

 719(養老3)年に創建し、三重県伊勢市の伊勢神宮に神々が移ったという故事から「元伊勢」と呼ばれる籠神社境内。3月に権禰宜(ごんねぎ)となった清水野さんは「震災後、地域に元気を取り戻す力を与えた祭りやお社を守っていく神職をどうしても諦めたくなかった」と振り返る。

 親族が地元の神社の別当を務めていた環境から、中学時代から神職を志した清水野さん。一時は途絶えた山田町の関口不動尊神楽にも中学2年から加わるなどもともとあった神社への思いを一層強くさせたのが震災だった。

 がれきの町で、折れそうな住民の心を支えたのが神社に奉納する神楽や虎舞だった。高台に残った社の存在も大きかった。神職への思いは日々強くなった。

(報道部・佐々木真琴)