〈ロウソクに ひを ともします/しずかに あかるく/きょうというひを てらします〉。オレンジ色の柔らかな炎が描かれている荒井良二さんの絵本「きょうというひ」(BL出版)

▼その炎を覆う〈ちいさな いえ〉を一つ一つ作っていく。消えないように、空を見上げて祈りながら。二度と来ない今日という日を、大事に生きることを伝える。読み手の解釈を優しく受け止めてくれる作品だ

▼「あの日」を思う鎮魂の明かりが、今年も街角にともる。3・11の日、盛岡市内では1万個の灯籠が並ぶ。県内だけでなく全国各地から、個人や学校、企業などの団体が製作に参加した。一つ一つに心を込めて

▼ボランティアや被災者らが集い、こつこつと組み立てを進めている。「忘れない」「絆」「がんばろう」-。灯籠に刻まれたさまざまなメッセージが、膨大な数の作業を励ます。みんなで支え合えば大丈夫、と

▼もりおか歴史文化館周辺で、当日夕方から灯籠に火をともす。訪れた市民も点灯に加わることができるという。震災の記憶の風化が進む中、被災地に思いを寄せて共に祈る場に。実行委は来場を呼び掛けている

▼星の瞬きや川のせせらぎのように、心落ち着く炎の揺らぎ。絵本ではやがて世界中にろうそくが広がっていく。手と手がつなぐ小さな温かさ。願いを照らす日となる。