「『大槌希望新聞』を作ろう~復興に向けて歩む人々の願いに触れて」をテーマに、昨夏のNIE全国大会盛岡大会で公開授業を行った大槌町の大槌学園(松橋文明校長、児童生徒616人)6年1組(36人)は、希望新聞を完成させ、学級で交流した。記事を通し、東日本大震災からの復興に尽くす古里の先輩と出会い、自らの生き方や町の将来を考え意見を交わした。

 希望新聞の交流は2月22日、本年度最後のふるさと科の授業で行われた。左側に震災復興に携わる町民や町出身者らの記事、右側に希望新聞を貼ったA3判の色画用紙を班で回し読みした後、クラスメートの新聞を読んで回り一枚一枚に感想を書いた付箋を貼った。

 希望新聞は▽新聞記事から学んだ町民らの思いや努力▽学園祭で学んだ地域の歴史▽将来の夢-で構成。2学期、復興に取り組む町民や関係者の記事約30本から数本を選択。NIE全国大会で人々の願いや苦労、被災状況といった共通点を探し、自分たちにできることを探った。その後、記事の読み込みや町民の話を聞く授業を続け、新聞制作に取りかかった。

 「笑顔という言葉が記事の共通点だった」と話す岡本亜胡さんは「大槌が笑顔の町になるように役に立ちたい」と語り、地元の虎舞の記事を選んだ佐藤光太君は「伝統芸能が地域を支えた。得意なことで町に貢献したい」と思いを強くした。

 自宅流失の体験を記し被災に向き合う新聞を作った佐々木真希人君は「壁を乗り越えていきたいという思いを込めた。震災で全てがなくなったわけではない。一人一人に希望があり、集めれば大きな希望になる。町に関わりたい」と町とともに歩む決意を示した。

㊧岩手日報2018年3月15日付で掲載されたクレープ移動販売を行う大槌町出身女性の記事から支援者への感謝を学んだ岡本亜胡さんの新聞、㊨岩手日報2015年7月18日の企画「いまを生きる」で紹介された小学校長の記事を読み「希望」について考えを深めた佐々木真希人君の新聞
㊧岩手日報2017年11月12日付掲載の記事から子どもたちの笑顔のため汗を流す地元のサッカーコーチに生き方を学んだ倉田海聖君の新聞、㊨岩手日報2018年3月15日付で取り上げられたクレープの移動販売を行う大槌町出身の女性の記事から将来の夢を考えた黒沢彩香さんの新聞

大槌学園・多田俊輔教諭 紙面上で多くの出会い

 大槌希望新聞制作や新聞活用の狙いを担任の多田俊輔教諭(32)が解説する。

 学習の狙いは、復興に尽力する町民から生き方や古里との関係を考えること。今回、新聞が教材として優れている点を二つ感じた。

 一つは教室では会えない人がたくさん登場する点。児童は紙面上で、多くの人に出会い、復興に向けた願いや努力に気付いた。二つ目は、活字媒体で行間を読むことができること。行間には考える「余白」がある。子どもたちは、想像し、思考を深めた。

 被災児童に対する震災関連記事の教材化をためらう向きもあるが、教員や大人はフィルターをかけ過ぎ子どもの情報を狭めてはいないだろうか。子どもには読む権利も読まない権利もある。信頼関係が前提だが、子ども扱いせず言葉を与え、思考に任せるべきだ。

(談)