生まれ育った環境で将来が左右されないよう、どの子にも等しく教育の機会が与えられる社会が望まれている。途上国の話ではない。子どもの7人に1人が貧困状態にあるのが日本の現実だ。

 とりわけ深刻なのは、貧困率が5割を超えるひとり親世帯。非正規などで収入が不安定であれば長時間労働などで補い、子どもと過ごす時間も限られよう。身近に困りごとを相談し、支援を受ける関係も希薄な傾向にあり、社会的な孤立につながりかねない。

 家庭の困窮が、弱い立場の子どもへと連鎖していく。日々の食事や衣服、病院受診、塾や習い事など有形無形に影響を及ぼす。

 体験から学ぶことは多く、幼児期の環境で就学時にすでに差が生じる場合もある。学年が進むにつれて表面化、学習面で大幅な遅れや苦手意識をもたらしていく。自助努力だけでは越えがたい壁。「頑張っても仕方がない」と意欲をしぼませることが心配だ。

 県内では、生活保護世帯の子どもの大学等進学率は2016年度に28・0%。県全体の68・8%に比べると低い。学歴が高いほど高所得の仕事に就く割合が高い状況を考えれば、学習や多彩な体験活動を幼いうちから支援する意義は大きい。

 さまざまな困難を抱えた家庭でネグレクト(育児放棄)や暴力などの虐待も無縁ではない。家庭や学校に落ち着ける場所がなく、大人に頼るハードルの高さもあり、1人で問題を抱える子どもたちだ。

 NPO法人3keys(東京)はインターネット上に相談窓口サイト、SNSで情報提供、多彩な形式での学習支援活動を行っている。

 森山誉恵代表理事は「一番困っている子がどこにもつながっていないケースが多い。虐待児の発見や保護など支援の難易度が上がる前に、居場所を感じられる環境を地域につくるなど、どう予防していくのかが大事」と指摘する。

 子どもの貧困対策推進法や同法に基づく大綱見直しの動きがある。市町村による対策計画づくりや、根本的な要因を取り除く親の就労支援拡充など議論が進む。

 県内でも多彩な取り組みが広がる。企業や大学が、職業観や将来像を描く機会を提供。各地で徐々に広がる子ども食堂は、地域共生の拠点としても期待される。

 貧しさは口にしにくい。そもそも自覚していない子どもさえいる。見えにくいだけにいかに早く気付き、手を差し伸べられるのかが肝心だ。

 子や孫の同級生、あるいは近所の子が困っているかもしれないと考えられないだろうか。貧困は身近にある。育ちを支える意識と行動を、地域でもっと共有したい。