大槌町が進めていた旧役場庁舎の解体工事は2日、現場作業が終了した。存廃を巡り住民意見が割れ、保存を望む町職員遺族が工事中断を求める中で着手され、40日余り。東日本大震災津波の脅威を伝えてきた遺構は姿を消し、献花台と地蔵だけが残された。

 同日は、作業員5人が機械で拾いきれなかった木材やプラスチック類などを手作業で収集。仮設トイレを撤去し、午後4時前に全ての作業を終えた。町職員が淡々と進む作業を見守る一方、一般の町民の姿は見えなかった。

 旧庁舎を巡っては保存、解体の議論が町を二分。工事の差し止めなどを求める住民訴訟にまで発展したが、盛岡地裁が原告の請求を退けた。町職員遺族が死亡状況解明までの解体中断などを求める中で、町は1月19日に工事を始めた。

 町は跡地を災害発生時に車を乗り捨てる「防災空地(くうち)」としての活用を見込み、のり面には階段を設ける。献花台、地蔵は移設の方向で町が調整している。保存を求めていた町職員遺族は跡地に「記憶と記録、祈りのためのモニュメント」の設置を要望している。