「どこで災害に遭うか分からないから、連絡方法をしっかりしなきゃ」「(東日本大震災で)亡くなった人の分まで、明るく元気に生きよう」

 盛岡市の松園小(高橋真司校長、児童258人)5年生が震災8年に合わせ取り組んだ「松園小5年生 五つの提言」の授業。新聞スクラップを片手に、グループで話し合った。

新聞記事や副読本を根拠に震災復興や身近な防災を考え、頭を寄せ合い提言を話し合う松園小の5年生

 ▼震災8年を前に

 授業は「東日本大震災8年『いきる、かかわる、そなえる』今、自分たちにできること」をテーマに総合学習2時間、道徳3時間で構成。1時間目は県教委の副読本の中から、内陸の高校生が沿岸被災地で歌う話題を取り上げて「何ができるか」を考え、2時間目は副読本の防災無線で避難を呼び掛け続けた女性の部分を読み、保護者らに震災当時の話を聞く準備。3時間目にインタビューの内容をクラスで共有(シェア)した。

 3、4時間目で、各自が考えた「できること」の根拠となる記事探し。学校や各家庭から持ち寄った1月からの新聞を開き、切り抜いてノートに貼り付けた。

 最終の5時間目は8日に行われ、記事や副読本の記述を根拠に、各自がグループ内で説明。「いきる、かかわる、そなえる」にポイントを絞り、グループの提言を決め発表した。

 ▼忘れない、伝える

意見を出し合い、一つの提言にまとめる児童

 「災害伝言板の練習」を提言した荒井心々愛(ここな)さんは岩手日報に掲載された平成の自然災害の表や副読本の情報発信・収集のデータを根拠に「大震災時に利用している人が比較的多い。緊急時に使えば家族を安心させられる」と説明。「震災を忘れず笑顔で明るく毎日を生きる」を掲げた藤原海(かい)君は「震災で亡くなった人は多く、同じ年にニュージーランドの地震でも県人が命を失った。僕たちは生きている。笑顔で明るくをモットーにしたい」と心を決めていた。

 畠山侑(ゆう)君は「津波てんでんこ」を読み「これまで、自ら行動することが足りなかった。率先して避難を先導したい」、五島桜咲(ごしまろうさ)さんは「伝えることが第一」と強調。佐々木俐乃さんは「みんなで意見を出し合った提言。つくったからには実践しよう」と呼び掛けた。


中嶋一良教諭 取り組み2年、学習の基盤築く

 松園小5年生はNIEを始め2年。担当する中嶋一良教諭(50)に新聞活用のコツや効果を聞いた。

 (聞き手 読者センター・礒崎真澄)

 -NIEの効果を端的に感じる点は。

 「読む、書く、考える、聞く、話す-スピードがつき、読解力の質も高まっている。特に読み取りに関しては顕著だ。教科書や問題を繰り返し読み聞かせる必要がなく、授業がやりやすくなった。他の教科にも波及し、学習を支える大きな基盤が2年間でできた。劇的に変わったと言える」

 -いつ頃から感じたか。また、工夫している点は。

 「取り組み始め1年を超えたあたりから効果が見えだした。当初、スクラップは広告でも何でも可とし、無理せずにこつこつと継続した。また、岩手日報への投稿では発信力が育まれた。自分の文章が紙面に載る責任感や他者から認められる充実感が自信につながっている」

 「グループ学習を大切にしている。互いに発表し考え方や感じ方の違いを感じることで、恥ずかしがらず話す姿勢、話を聞く姿勢が身に付いた」

 -授業の狙いと手応えは。

 「復興教育の一環として、クロスカリキュラムで行った。理科の『災害に備えよう』、社会の『自然災害と共に生きる』単元ともつながる。今回は『新聞を根拠に考える、話す』ことに主眼を置いた。子どもたちは当初、被災地に赴き支援することに関心を向けたが、記事を読むにつれ、実現可能な手段や震災を身近な災害に置き換えて考えるようになった。新聞の使い方はさまざまあると実感した」