週3回、1回3~5時間。人工透析治療(血液透析)の患者への負担は大きいが、受けなければ命に関わる。

 東日本大震災時、被災地では停電や断水など混乱の中、医療者が透析時間を短縮するなどして対応。教訓を踏まえ、来るべき災害時の備えとして関係機関のネットワーク化などに力を入れている。

 希望を見失いがちな患者を励まし、命をつなぐための努力を多くの医療者が続けている中、東京都の公立福生病院では何が起きていたのか。昨夏、腎臓病の女性に医師が人工透析をやめる選択肢を示し、治療に苦しんでいた女性が受け入れ、約1週間後に死亡した。

 他の患者への透析治療も中止していたとみられ、都や日本透析医学会が調査に乗り出している。

 学会は2014年、終末期の透析中止についての提言を策定。中止を検討するケースとして「続行が生命の危険につながる」「中止の意思が明確で、死が確実に迫っている」などを挙げた。患者の意思の尊重が大前提で、医療側が患者や家族と十分に話し合い、場合によっては専門家でつくる倫理委員会の助言に従うことも求めている。

 福生病院では、どうだったのか。女性は中止に同意する文書に署名していたが、死亡する前日に「こんなに苦しいなら、また透析しようかな」と発言していたという。命を守るという医療の原点、患者の揺れる意思に寄り添うという提言の趣旨からも逸脱していたとしか思えない。

 そもそも、女性は終末期の患者ではなく、医療側から透析中止を提案してはいけないケースだった可能性も指摘されている。医師の価値観をはじめ、一連の経緯について詳細な解明が求められる。

 人工透析患者は年々増加しており、17年末で約33万人に上る。患者団体によると、医療費が高額として「税金の無駄遣い」と中傷を受ける患者も多いという。

 医療が進歩し、社会保障費が増大する中、透析に限らず「金と命」をてんびんにかける風潮がはびこっている。麻生太郎財務相が13年、社会保障制度改革国民会議で「政府の金で(高額医療を)やってもらっていると思うとますます寝覚めが悪い。さっさと死ねるようにしてもらわないと」と述べたのは象徴的だ。

 今後も社会保障費の増大が見込まれる中、この種の風潮の高まりが懸念される。だが、医療の原点を見失ってはならない。

 終末期や死について、患者も家族も身近な問題として受け止め、考えたい。医療者と共に、繰り返し考えるプロセスの先に、あるべき終末期医療の姿を見いだしたい。