自民党幹部が、安倍晋三首相の党総裁連続4選の可能性に相次いで言及している。

 加藤勝信総務会長は、先月末の東京都内の講演で「国民から『さらに続けてほしい』との声が出てくれば、4選の状況は生まれてくるかもしれない」と発言。二階俊博幹事長も記者会見で「党内外や海外からの支援もあり、この状況では十分あり得る」と可能性を後押しした。

 当の安倍首相は、元日放送のテレビインタビューで「少なくとも(4選は)ない」などと、いったんは明確に否定したものの、ここに来て発言を変化させている。

 国会では「自民党のことは自民党でしっかりと議論していくこと」と意欲をにおわせたかと思えば、先ごろは「党則で禁じられている。ルールに従うのは当然」と火消しに回るなど、しきりに煙幕を張っている。

 自民党総裁の任期は、2017年の党大会で連続2期6年から3期9年へと党則が改正され、首相は昨年9月の総裁選で3選を果たした。現任期は21年9月までだが、再び党則を変えれば4選への道が開ける。それは「党で議論すること」には違いない。

 二階氏は一昨年の党則改正を主導した。4選論が現実味をもって語られるゆえんだ。

 だが党総裁が即首相を意味する現状で、総裁選びは「党の勝手」とは行くまい。小泉政権後を担った第1次安倍政権から、ほぼ1年ごとの首相交代の末に民主党に政権を明け渡したのは、まさに「党の勝手」の結果。民主党政権でも首相交代が度重なり政治不信を増幅させたのは、与野党にまたがる重い教訓だろう。

 「絶対的権力は絶対的に腐敗する」との時代を超越した格言もある。権力の内側にいて、長期政権の利点に目を奪われた主権者不在の議論は厳に戒めなければなるまい。

 とはいえ残任期をたっぷり残す段階で浮上した連続4選論の裏には、後継候補の影が薄い現実が横たわる。

 有力候補の一人とされる岸田文雄政調会長は、宴席で同席した安倍首相に「次は岸田さん、出るんですよね」と次期総裁選の話題を振られ、反応しなかったという。「すかさず手を挙げたのは(中略)野田聖子衆院予算委員長だった」と、本紙記事にある。

 昨年の総裁選で、地方票をほぼ首相と分けて存在感を示した石破茂元幹事長は、4選論に「本気ではないだろう」と静観の構えと伝わる。

 総裁選が派閥闘争そのものだった時代とは様相を異にするとはいえ、4選論の台頭に反応が薄い現状は政治の活力が減退している証左だろう。政権取りへ道筋を描けない野党勢力を含め、「候補」は発憤しなければなるまい。