東京都渋谷区恵比寿の日本酒バー「GEM by moto(ジェムバイモト)」店主、千葉麻里絵さん(34)=奥州市出身=は、エッセー漫画「日本酒に恋して」を出版した。日本酒初心者だった千葉さんがその奥深さに魅了され、日本酒のスペシャリストに成長するまでの道のりや造り手との交流を描いた実話。千葉さんは「造る側と飲む側、酒と料理をつなぐ日本酒ソムリエの魅力を知ってほしい」と思いを託す。

 もともと「飽き性で人見知り。日本酒の味の違いも分からなかった」という千葉さん。大学時代に飲食店でのアルバイトで学んだ接客の楽しさを忘れられず、2010年、システムエンジニアを離職して日本酒を扱う飲食店に再就職した。

 以来、勉強のために時間を見つけては各地の酒蔵見学へ。酒造りの現場と人の面白さを肌で感じ、のめり込んだ。有機化学好きの理系女子でもあり、日本酒の重要な要素の香り成分が化学的に分類できることに着目。客の求める「キレの良さ」「濃いめ」などの味わいを主観ではなく成分の組み合わせから想像し、好みの酒をぴたりと当てる〝化学的アプローチ〟が評判となった。

千葉麻里絵さんと酒造りに関わる人々との交流を描いたエッセー漫画「日本酒に恋して」

 作中では、実在する酒蔵の酒造りへの情熱や、造り手と酒、それぞれの際立った個性が面白おかしく展開する。「私がここまで真剣に夢中で生きてこられたのは、この出会いがあったから。どんなときでも大切なのは人」と千葉さん。読めば誰もが日本酒への親しみが増す内容だ。

 「日本酒に-」はA5判、148ページ。主婦と生活社刊、1296円。