8年前、大津波に遭った各地に広がった恐るべき光景。千年に一度とも言われた津波災害は「あり得ない出来事」だった。

 とはいえ、次の「千年に一度」クラスがいつまた来るかは分からず、近い将来かもしれない。まして、それ以下の規模の地震・津波なら、発生頻度は大きい。

 備えを常に。政府の地震調査委員会が先ごろ発表した地震予測は、そんな認識を改めて突きつけた。

 予測は、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)後の2011年11月に出された長期評価の改定。本県沖など東北-関東地方の日本海溝沿いの海域で、今後30年にマグニチュード(M)7~8の大地震が起きる可能性が高いとしている。

 新たに算出された「宮城県沖M7~7・5程度」は「90%程度」と高い確率。「同県沖M7・9程度」は11年版の「ほぼ0%」から「20%」に上昇した。福島県沖の危険性も増した。

 このように数値が変わったのは、東北地方太平洋沖地震の影響を含め、調査研究が進んだからだ。だが、まだまだ分からないことは多い。

 今、被災地の海岸線には、視界から海を遮ってそびえ立つ巨大防潮堤が延びる。地域を守る存在だが、頼り切っての油断は禁物だ。

 大震災の遺族を対象にした本紙アンケートでは、「震災当時の居住地区付近の海岸に建設される堤防を、今後数十年以内に津波が越える可能性があると思うか」に、可能性が「非常に高い」「高い」と答えた割合は49%だった。

 半数の人の警戒感は強い。一方で、残り半数の人は可能性が「低い」「非常に低い」と考えている。ハード設備を過信せず、避難の心構えをしっかり持ちたい。

 地震調査委の予測では、東北地方太平洋沖地震と同じ場所でM9程度の超巨大地震が起きる確率が「ほぼ0%」としながらも、隣接場所で起きる可能性を否定していない。

 もしも超巨大地震が起きたなら-。防げないことがあるのはやむを得ないが、防げることには手を打つべきだ。この点では東京電力福島第1原発事故が頭をよぎる。

 超巨大地震予測に関する調査委の評価は及び腰ともみられ、原発事故再発を危惧する専門家から「危険の芽から目をそらすな」の批判が出ている。再稼働などについて十分留意すべきだ。

 大震災後、熊本県では直下型地震で大きな被害が生じ、北海道では地震の影響で全域停電という未曽有の事態も発生した。列島の地震活動が活発化していると言われる中、潜在する危険を直視し、災害への備えを強めたい。