全国最長路線誕生へ 外国人観光客どう対応

 三陸鉄道にJR山田線が移管され、第三セクター鉄道として全国最長の路線が間もなく誕生する。

【全線再開1年】ビニール袋や小旗を振って記念列車を歓迎する地元住民ら=2015年4月5日、普代駅

 線路が一本につながるメリットは大きい。これまで北リアス線と南リアス線に分断されていた車両や運転士の融通が利き、効率的な運用が可能になるからだ。

【久慈駅】「あまちゃん」の「北三陸駅」のモデル、久慈駅はリアス線最北端の駅
【盛駅】リアス線最南端の駅、盛駅=2013年4月3日

 久慈から盛までの直通列車も、毎日3本の運行が予定されている。久慈駅に併設されている「三陸リアス亭」で人気の「うに弁当」を販売している工藤クニエさん(78)は「これまで以上に、たくさんの人が三陸を訪れてくれるはずだ」と喜ぶ。

【工藤クニエさん】「うに弁当」を手に、全国のファンに感謝する工藤さん=三陸リアス亭

 山田線区間は、急勾配やカーブが、既存の2路線に比べて多い。めまぐるしく変化する車窓からの眺めは鉄道乗車の楽しみの一つだ。

 三鉄は、橋上の絶景ポイントでは車両のスピードを落としたり停車させる乗客サービスを行っている。新しい路線でも中村一郎社長が「何かできないか考えている」としているだけに、鉄道ファンには、こちらも楽しみの一つになりそうだ。

【乗客】北リアス線の車窓からの景色を眺めながら、会話に花を咲かせる乗客たち=2014年4月6日

 9月のラグビーワールドカップ(W杯)釜石開催も控え、交流人口拡大に三鉄が果たす役割や期待も大きい。

 中村社長は「試合だけではなく、ゆっくり三鉄の旅を楽しんでもらいたい」と、駅の外国語表記を英語や中国語などを中心に増やす考えだ。「乗務員も基本的な受け答えができるくらいにはしていきたい」と社員のスキルアップも目指す。

【点検作業】運行を終えた車内で点検を行う運転士。安全運転には欠かせない作業=宮古駅

課題は山積 魅力的な企画列車運行へ

 一方で課題も多い。中村社長は「まずは安全運行が第一だ」と、語気を強める。宮古-釜石間はカーブが多い上、踏切が49カ所ある。

【増える踏切】8年ぶりに列車が通る踏切を安全を確認して渡る児童=2019年2月5日、宮古市上村

 これまでは南リアス線と北リアス線合わせてわずか3カ所。地域住民の協力も不可欠だ。沿線では、小学生の交通安全教室などの取り組みが始まっている。

【陸中山田駅】陸中山田駅周辺には復興した店舗などが立ち並ぶ=2018年12月13日、山田町

 沿線人口は減少が続き、観光客以外の輸送人員増加は大きく望めない。中村社長は「通学定期の利用者を維持したい」と、沿線自治体の支援を受けながら乗客確保に努める考えだが、視界は決して明るくない。

 しかし、三鉄を愛し応援するファンは全国各地にいる。19年は夜行列車やプレミアムランチ列車など、魅力的な企画列車が続々登場する。JRやIGRいわて銀河鉄道などと連携した周遊列車も検討中だ。

 これまでもさまざまな困難に打ち勝ってきた三鉄は、これからの苦しい道のりも一つずつ乗り越えていくだろう。三鉄にとって「第三の開業」は、間もなくだ。