復興・創生期間の終了と同時に、2020年度末で廃止される復興庁の後継組織を巡る議論が本格化している。

 被災地からは、かねて省庁横断的な企画調整機能の存続を求める声が上がっていた。それ自体、復興庁への一定の評価ではあるだろう。その上で、後継組織に望んでおきたいことがある。人と地域の復興を強力に後押しする「存在感のある組織」(達増知事)とすることだ。

 防潮堤や土地造成、交通基盤などハード面は目鼻が付く一方で、地域の活力を呼び覚ますソフト面の取り組みとのギャップが顕在化している。本来的な「復興」は、むしろこれからが正念場だ。

 人口減少局面で起きた東日本大震災は、被災地の大半を占める小規模自治体の過疎化や少子高齢化を加速させた。地方の課題を先取りする形となった被災地の現状と打開への取り組みは、全国で共有するべき性質のものだ。

 阪神大震災がそうであったように、その16年後に起きた東日本大震災はさらなる大災害の前触れとしての意味を秘める。南海トラフ巨大地震、首都直下地震をはじめ異常気象災害、火山噴火など、あらゆる事態が想定される災害列島にあって、防災・減災と早期の復旧・復興に向けた備えは喫緊の課題だ。

 全国知事会が、予防対策から復旧・復興までを一元的に担う「防災省」創設を提言しているのは、そうした危機感の表れに違いない。

 復興庁は内閣直轄組織で、長は首相。さらに専任相を置く制度設計は類例がないという。政治主導への決意の表れだろうが、一時は失言などで辞任する復興相も相次いだ。他省庁への勧告権限も付与される復興相ポストの重さが、重さとして機能し切れていない印象は否めない。

 震災後に制定された大規模災害復興法は、復興を主眼とした初の恒久法。復興プロセスを整備した点で意義は大きいが、ハード事業に主眼が置かれており、被災者の生活再建や人口減少対策といったソフト面との兼ね合いは引き続き課題として残る。

 市街地整備が進む一方で、「人の復興」は格差が広がる傾向が指摘されている。ハード、ソフト両面で復興の全体を見渡し、的確な制度運用で被災地と被災者を支える施策を進める機関の重要性は、今後ますます高まるだろう。

 復興庁は、併任人事で人材を動員し、各府省との連携で「司令塔」としての役割を担保した。ポスト復興庁は、規模に増して中身が肝心。高い確率で新たな大災害も想定される中では、これまでの災害経験を系統立てて蓄積し、今後に生かす専門性が組織にも人にも求められる。