数年前、取材団の一員としてフィンランドを訪れた時のこと。取材先のまちとの交流会が開かれた。両隣には地元市民。同国民は英語を身に付けているとのことだが当方はほんの片言。そんな中で何を話題にすればいいのか悩んだ

▼思い浮かんだのがスキー・ジャンプ競技の話だ。同国はノルディック強国。関心が高いはずで、日本の有名ジャンパーである「カサヤ」「カサイ」「フナキ」らの名前を挙げ、「知っていますか」と問いかけた

▼「イエス」との答えをいただき打ち解けた。加えてフィンランドの名選手を何人か言うと喜んでくれた。そんな名選手の中でも傑出した存在が、冬季五輪で4個の金メダルを獲得した「鳥人」ニッカネン選手だ

▼ワールドカップ(W杯)では4度の総合優勝。先ごろ55歳で亡くなり、葛西紀明選手は「永遠に憧れのヒーロー」と悼んだ。今、欧州のメディアで「鳥人」と称されるのが、葛西選手のまな弟子小林陵侑選手だ

▼素質を開花させ一気に躍り出た今シーズン。W杯では既に10勝を挙げ、総合優勝へひた走る。次戦の開催地はフィンランド。地元のジャンプファンは、新たな鳥人「コバヤシ」を熱烈に迎えてくれるに違いない

▼今年は両国の外交関係樹立100周年。親善大使を務める葛西選手のまな弟子の飛躍は、日本をアピールする架け橋となる。