人口減少、過疎化、まちの空洞化に伴い、土地や家屋に絡む問題が深刻さを増している。クローズアップされているのが、所有者不明で放置されている土地や空き家だ。

 これらは周辺の住環境に悪影響を及ぼすほか、再利用や再開発の支障となっている。対策が急がれるゆえんだ。

 今年に入り、実態報告や提言が相次いで出された。

 空き家問題では、総務省が自治体による対策の実態調査結果を公表。建物の所有者特定には固定資産税情報の活用が有効だという。所有者特定の手順で、最初に固定資産税情報を確かめる自治体は、この情報だけで約8割を突き止めていた。

 所有者不明土地の増加問題では、増田寛也元総務相(元岩手県知事)らの民間有識者研究会が防止策を提言。所有者が遠隔地に住むなどの理由で管理できず、売却先も見つからない宅地を自治体や国が引き取り、手数料を徴収して管理する仕組みを構築すべきとした。

 所有者が不明な空き家や土地は、時間が経過するほど手を施すのが難しくなる。不明事案を増やさず、現在不明な場合はできるだけ早期に把握することが肝要だ。総務省の実態調査、民間有識者研究会の提言は貴重だ。

 ただ、いずれにしても自治体の業務負担が増す。人員や財源の確保、ノウハウ共有などに知恵を絞る必要がある。

 また、土地の基本情報は目的別に作成され、共通管理されていない。固定資産税情報などを含め一元化システム構築が必要なのではないか。

 所有者不明の背景にあるのは、相続登記が任意で義務ではないことだ。きちんと登記されないことは、自治体などが法定相続人をたどる作業を難しくする。

 資産価値が高い不動産の権利を登記によって守ろうとする大都市圏の住民に比べ、地方では未登記の不利益を感じにくいとされる。地方には未登記の問題が多く潜んでいると言える。

 それが顕在化したのが東日本大震災だ。本県でも復興事業の用地を巡り所有者捜しに膨大な時間と手間を要したり、計画変更を余儀なくされる例が相次いだ。

 抜本的解決のために、国は登記を含め土地に関する制度の在り方について本格的な検討を進めるべきだ。

 住民も相続登記について認識を深めたい。怠ると、やがてねずみ算式に法定相続人が増えていく。そうなると活用や処分ができず、財産の価値を事実上なくしてしまう。

 そして、不動産の放置、相続の未登記は個人や一族の問題にとどまらず、地域に対する社会的迷惑に発展しかねないことを強く自覚したい。