原則禁じられてきた小中学校への携帯電話やスマートフォンへの持ち込みが緩和されるかもしれない。子どもたちの所持率が高まり、災害時にも有用との理由から、文部科学省が2009年の通知見直しを検討する。

 スマホ依存や会員制交流サイト(SNS)のトラブルが懸念され、個々のマナーやルール頼みでは回避できない状況さえある。解禁の是非は分かれるが、「持っている」や「いずれ持つ」を前提に、活用能力の育成など対応が急がれる。

 文科省は学校現場での持ち込み制限を把握する調査を08年以来、実施する方針。この間、スマホなどを持つ子どもが増えた。内閣府の17年度調査では小学生の56%、中学生67%、高校生97%が所有。パソコンやタブレット、ゲーム機などを含めたインターネット利用率は90%前後に上る。

 共働き家庭が増え、放課後の塾や習い事など子どもの単独行動に不安を抱く保護者は多い。やむを得ない理由がある場合、例外的に持ち込みを認めている学校もある。

 大阪府教育庁は4月から公立小中学校で認めると決め、ガイドライン素案を示した。昨年の大阪府北部地震が登校時間帯に発生し、非常時に子どもの状況を確認したいとの要望も相次いだという。

 物心がつくころにはパソコンやスマホが身近にあるデジタルネーティブ世代といわれる小中学生。無料通信アプリLINE(ライン)などSNSにためらいなく親しむ一方、マナーやモラルを逸脱した投稿でネットいじめなどが起きているのも現実だ。

 コミュニティーサイトを通じた性犯罪、自撮り画像を送らされる被害などに遭う子どもが急増。個人情報が特定されるような投稿、動画の違法なアップロードやダウンロードなどトラブルの事例を挙げたらきりがない。知識や判断力の未熟さも指摘される。

 持たせている家庭ではフィルタリングの活用や、子どもと一緒にルール作り・確認は必須。「うちの子は大丈夫」と安易に思わない方がいい。

 また、情報化社会に生きる子どもらがこの先、適切な情報モラルや活用能力を身に付けられるように、成長段階に応じた指導を学校教育の場で行う視点も必要だろう。

 持ち込みを認めた場合、管理上の問題、家庭の事情などで所有しない子どもへの配慮も出てくる。教員の負担がさらに増すことが想像される。肝心の授業に支障が出るようでは元も子もない。

 利器であり武器ともなる。賛否両論あるからこそ各学校で教員、児童生徒、保護者と検討を重ねよう。子どもらが正しい術を身に付けるべき状況であることは間違いない。