岩手日報社が行ったNIE県内全校調査で、新聞活用に取り組む学校の割合は高校が74%、小学校72%、中学校69%、特別支援学校34%だった。朝学習や各教科で工夫を凝らすなど高校の積極的な活用が目立った。

新聞活用、高校74% 教科や朝学習、幅広く

 新聞活用状況(複数回答)をみると、新聞を学習に取り入れる高校57校は、国語、社会のほか、商業、家庭、理科、英語、保健など幅広い教科・領域で活用。朝学習や家庭学習にも積極的だ。

 取り組みは、スクラップ29校、スクラップと要約・感想が39校と多く、社説・論説などの書き写し、記事についての意見交換、授業導入時の事例紹介など。効果については、スクラップや要約・感想、論説などの書き写し、調べ学習の資料で、明確に「効果が見られる」とする学校が40%を超え授業導入時の紹介は52%に上った。

 一方で、新聞を活用していない学校は小中に比べ10ポイント以上多い18%。日本新聞協会認定NIEアドバイザーの茂庭隆彦千厩高校長は「新聞の文脈はリアルな現実で、生徒の学んだ知識や考えを揺り動かす有効な教材。3年間を見通し全体として束ねることで効果は確実に上がる。ぜひ、取り組んでほしい」と呼び掛ける。

 小学校217校では、国語が184校と突出。活用は授業が192校で、高校に比べ家庭学習、朝学習は少ない。教室などへの掲示167校、調べ学習の資料130校が多く、スクラップ、要約・感想は161校だった。スクラップや記事についての意見交換で、「効果が見られる」とした回答は30%を超えた。

 授業の活用が多い点に、同NIEアドバイザーの菅野亨岩手大付属小副校長は「新聞を扱う単元があり、教室で工夫している様子が浮かぶ。一歩進め授業以外のNIEタイムや児童が気軽に新聞を手に取れる環境をつくってほしい。社会への興味や新聞で得る知識は学習のベースとなり学びと実社会をつなぐ」と強調する。

 中学校105校では、社会75校、国語73校が多く、道徳も20校あった。授業は76校で、朝の時間帯の活動も63校と多かった。取り組みは、掲示、授業時の事例紹介、調べ学習の資料が50校を超えた。スクラップ、要約・感想は82校が行い、20~30%の学校が「効果が見られる」とした。

 特別支援学校でも国語の授業やスクラップの活用が多く、社会への関心や読む力、語彙(ごい)力を高めている。

 
 

 「新聞活用の効果は見られるか」の質問に「見られる」と回答した学校は全体の26%。校種別では高校の割合が40%と高かった。教師間の連携、朝学習・家庭学習への導入など、積極的にNIEを実践する盛岡北高、一戸高では、生徒が社会に目を向け、学力を上げている。

盛岡北高 NIE朝学習、3年間継続

オリジナルのスクラップブックを開き語り合う盛岡北高3年の古舘美沙さん(左)と松田明日香教諭

 盛岡北高(佐藤一義校長、生徒715人)の3年生は、1年時から朝学習でNIEワークシートに取り組み学力を伸ばしてきた。活動は2年生に受け継がれ週1回、登校後に記事を読み意見や感想をワークシートに書き込んでいる。

 3年生の新聞活用は、国語科の教員が「(生徒の)読解力を上げ、視野を広げたい」と始めた。1、2年時は教員が週1回ワークシートを作ったが、3年になってからは各クラスのNIE担当4、5人の生徒が当番を決め毎日作成。独自に新聞スクラップに取り組み進路選択に生かす生徒も現れた。

 岩手日報の風土計、論説を毎日読む古舘美沙さんもその一人。「地域おこし」「交流人口」をテーマに2年生の時、切り抜きを始めた。A3判の用紙に記事を貼りメモを書いてクリアファイルにつづってきた。

 「初めは記事を読んでも感想が浮かばなかった」と言う古舘さん。毎日、読み書きするうちに新聞を読む習慣が付き、本県の課題を見つけ「岩手の役に立ちたい」と目標が定まった。

 記事をきっかけに沿岸のNPOを取材した古舘さんは震災復興のニュースについて「目に見える復興だけでなく、心の問題を取り上げるなど新聞の方が他メディアに比べ奥深い」とし「スマホは興味のあることばかりに目が行き、世界が広がらない。今後も新聞を読み続ける」と力を込める。

 松田明日香教諭は「新聞には、多種多様な意見や価値観、視点が盛り込まれ、多角的な考え方を育む。一度にたくさんの言葉に接し、どう処理するか、思考力、判断力も付く」と説く。

 2年生は、1月から週1回、NIEワークシートに取り組み始めた。菊地美晴さんは「ニュースを身近に感じる。新聞を読む習慣を身に付けていきたい」とし、菅沼秀さんは「要約の力がついてきた。自分の考えも加えた文章を書くことで小論対策になる」と効果を実感している。

 

一戸高 教科横断、教員が連携

各教科の教員が記事を選ぶ一戸高のワークシート

一戸高(根反馨校長、生徒249人)は全学年で新聞を活用する。週4回の国語の家庭学習は、国語科を中心に各教科の教員が連携してワークシートを作成。生徒の文章表現力向上や社会に目を向けるきっかけになっている。

 ワークシートは月―木曜日、帰りのホームルームで配り翌朝回収。生徒は記事の印象に残った部分を要約し、感想・意見を書き込み、国語科教員が点検する。週1回は同科以外の教員24人が年間当番表を作り記事選びを担当。視点の違った記事は生徒の視野を広げる。

 活動は2008年スタート。「漢字検定対策など作業的な学習より生徒の身になるものを」との教員の思いがあるといい、ストックしたワークシートは福祉作業所で冊子にし一人一人の「記念品」にするのが同校の伝統だ。言語活動、社会を知る学習は、大学入試の小論文や就職試験の面接に役立つという。

 国語科の伊井美夏教諭は「分かりやすく簡潔な文章に触れることで、文章力は上がる。他教科の教員が選ぶ記事は、さまざまな話題を生徒に提供し社会への関心を高める」と解説。「生徒からも好評で、負担はあるが、たいした手間ではない」と充実した表情をみせる。


【NIE県内全校アンケート】県内の小中高、義務教育学校、特別支援学校全573校を対象に、2018年度のNIE実施状況などについて聞いた。回答率は95%。義務教育学校は前期(1~6年)を小学校、後期(7~9年)を中学校として集計した。