県議会2月定例会がきょう13日、幕開けする。来る2019年度は県行政の新たな出発点となるだけに、岩手の向かうべき方向を指し示す議論を期待したい。

 19年度は、岩手の今後10年間を展望する総合計画「いわて県民計画」の初年度に当たる。その計画案と、9355億円の一般会計当初予算案が議論の柱になる。

 新計画案を反映させた予算を達増知事は「新時代スタートダッシュ予算」と名付けた。岩手が目指す将来像に向けて好発進を切る決意をにじませている。

 新計画案の合言葉は、今の「希望郷いわて」に「幸福を守り育てる」をかぶせた。経済的な豊かさから、人々の幸福度を高める政策づくりに発想を転換するものだ。

 背景には岩手を襲った東日本大震災がある。県は復興の基本に被災者の「幸福追求権の保障」を据えた。それを県政全般に広げていく。

 震災復興に引き続き取り組みつつ、誰一人取り残さず、県民の幸福を守り育てる。新計画案には、そうした考えが貫かれている。

 もとより「幸福」とは心の内面にあり、人それぞれ異なる。漠として分かりにくいものを政策の目標や評価指標にすることには、県議から疑問の声が強い。

 計画案に対し、基幹の農林水産業はじめ産業政策が物足りないと県議会では指摘された。それらに伴い最終案では、産業の底上げを強く打ち出す形になった。

 今議会は計画の仕上げを巡り論戦を交わすが、次の10年が岩手の難局だ。知事、県議とも認識は一致していよう。「新時代」の地域像はますます見えにくくなっている。

 その要因は急激な人口減少にある。自治体が単独でできることは限られ、よほど国が強力な対策を打ち出さなければ、人口減と東京一極集中に歯止めはかかるまい。

 地域に若い人がいない。遅かれ早かれ、小さな集落の多くは存続の危機を迎える。県議は地域の今をつぶさに実感しているはずだ。

 集落の正念場に、新計画は「新時代を切り拓(ひら)くプロジェクト」として一つの策を示した。アプリを活用した子育て・高齢者の見守りなど第4次産業革命技術を農山村に投入し、課題の解決に導く。

 若手県職員の発想から生まれた一例だが、県政には地域を持続させていく責任がある。県議会の議論を通じて「新時代」の姿を県民に見えやすくしてほしい。

 今秋には知事・県議選で県民の審判を仰ぐ。存亡がかかる新時代の地域を、どう持続可能にするか。県政の一翼を担う県議会には、そのための政策力を高めてもらいたい。