「午前8時、震度6弱の地震発生。その時、できることは何か。課題は何か」

 災害時の外国人支援に向け先月末、盛岡市の県国際交流協会が開いた多言語サポート研修会。約40人が参加した。

 「通勤途中の時間で観光客も多いだろう」「安全な場所に誘導し、けが人を把握する」「自分ができる言語で正確な情報を提供する」。参加者は小グループに分かれ、活発に話し合いを進めた。

 災害は、いつどこで起きるか分からない。言葉、文化、生活習慣も異なり、土地勘もない外国人にとって、衝撃はなおさらだ。「津波だ、逃げろ」という日本語が理解できても、どこに逃げればいいか分からない。

 岩手労働局によると、県内の外国人雇用状況は昨年10月末時点で約4500人。ベトナム、中国、フィリピンなど国籍はさまざまだ。改正入管難民法の成立で、今年4月からはさらなる外国人材の増加が見込まれる。

 加えて、本県を訪れる外国人客も増加傾向にある。2017年の宿泊者数は約18万8千人。釜石市が会場となるラグビーワールドカップ(W杯)、東京五輪・パラリンピックなども控えており、県は20年までに、29万5千人まで増やす目標を掲げる。

 災害時、外国人をどう守るか。東日本大震災時には、日頃から地域の外国人と交流のある日本語教室の先生らが、避難所を訪ね歩くなどして支えたことが知られる。

 とりわけ災害発生直後、外部からの支援が届きにくい状況で、外国人の頼りになるのは身近な地域の人たちだ。日常的な交流を深めるとともに、さまざまな災害、発生時間、場所などを想定し、それぞれの立場でできることを考える機会を積み重ね、支援の裾野を広げたい。

 研修会では、昨年9月の北海道胆振(いぶり)東部地震の際の外国人支援について、公益財団法人札幌国際プラザの大高紡希(つむぎ)さんが講演した。

 地震発生時、札幌市内の外国人観光客は推定約5千人。全域停電(ブラックアウト)という想定外の事態の中、職員が非常用蓄電池を使い、会員制交流サイト(SNS)で情報発信し、避難所を巡回し状況把握や支援に奔走。「自主的に避難所を回ってくれたボランティアの存在がありがたかった」と振り返った。

 同市は教訓を踏まえ、災害時に観光客の避難受け入れ協定を宿泊施設の団体と締結。本県でも、札幌などの取り組みを参考に、外国人観光客の支援体制強化が求められる。

 その際、本県在住の外国人の存在は大きい。各地域で外国人との共生の裾野を広げ、異文化に配慮した避難所運営などを共に考えたい。