盛岡市青山の県警察学校(小野寺啓泰校長)は31日、同校で初任科第93期長期課程の卒業式を行った。東日本大震災で自宅を失った釜石市片岸町出身の佐々木講一さん(20)は、仮設住宅を巡回して被災者を見守る警察官の姿に感銘を受け、同じ道を志した。初心と同校での学びを胸に「住民に温かく寄り添う警察官になる」と誓い、第一線へ向かった。

 卒業生は10カ月間の訓練を終えた38人。佐々木さんは家族が見守る中、証書を受け取り、巡査として二戸署配属の辞令を受けた。

 佐々木さんは震災当時、釜石市の鵜住居(うのすまい)小6年だった。聞いたこともない地鳴りと、背中まで迫ってきた波の音が忘れられない。ようやく高台に駆け上がり一望すると、古里は津波になめ尽くされていた。

 「こんなことが」。言葉が出なかった。家族6人は無事だったが自宅は全壊。仮設住宅を転々とした。

 ある日、仮設住宅に男性警察官が巡回に来た。「生活はどうですか」「何か心配事はないですか」。中学生の佐々木さんにも丁寧に優しく声を掛けてくれた。一戸一戸訪ねて回る姿を見て、警察官に対して持っていた「かっこいいけれど怖い」というイメージは一変した。この経験が警察官を志す原点になった。