新しい元号「令和」の時代が幕を開けた今年。大船渡市の鴨野チヨノさんの取材が印象深い。

 元気いっぱいの108歳。明治から五つの元号を生きる女性だ。若い頃には東京へ出稼ぎに行き、戦争や東日本大震災など困難に直面しながらも、とにかく明るい。「ガガニコニン」と節を口ずさんでは、権現様を小気味よく操る姿に魅了された。

 鴨野さんが「頑張ってけらっせん」とメッセージを送った若者世代への取材も思い出に残る。

 3月の大船渡東高の卒業式。クラス担任から一人一人名前を呼ばれた生徒が登壇し、卒業証書を受け取る。式も終盤、生徒が会場の体育館から退場するその時、ある男子が絶叫した。「公美(くみ)先生に名前を呼んでほしかったよ」-。1月に急逝した天国の担任に届けとばかりに叫んだ。みんなが泣いた。

 卒業生で教え子の一人が只野しずくさん(19)。震災で被災したが、支援への感謝や海への思いを歌に乗せて伝えている。3年間支えてくれた恩師への思いも同じ。「恩返しの気持ちを大切にしたい」と話すけなげさに胸を打たれた。

(長内亮介)