11月、二戸市民文士劇に初めて出演した。古代の県北地域に本拠地の爾薩体(にさったい)を構えた首長とされる郷土の英雄伊加古(いかこ)が主人公の作品。私は蝦夷の族長を演じた。

 6月に稽古が始まり、7月に配役が決まった。何とかせりふを覚えたと思っても、姿勢や目線、動きに気をとられると途端に頭が真っ白に。仲間を守るため同調圧力に屈しない気が強い人物像は自分とは真逆で、役作りには苦労した。

 一方、稽古を重ねる中で、気持ちが変化していくのを感じた。大きな声を出すのが恥ずかしかったが、周りの人たちの熱意を目の当たりにし、自分がどう見られるかというちっぽけなことより「いい作品を作り上げたい」という思いの方が強くなっていった。

 本番直前、出演者やスタッフ全員で手をつなぎ成功を祈った時、心が一つになった感覚に胸が熱くなった。何度も見た場面も、本番では改めて感動した。

 演劇をはじめ、それぞれの活動で地域を元気にしようという思いを持つ人たちは最大の「宝」。来年も、紙面を通じて頑張る人たちを応援し続けたい。

(阿部友衣子)