取材時、相手の気持ちを酌み取れたらとよく思う。だがそれがいかに困難か、何度も思い知らされた。

 10月に本県を襲った台風19号。中心部に山から土砂が流れ込んだ普代村や、川が氾濫し多くの被害が出た久慈市。泥が入った家を前に住民が立ち尽くす。言葉を失う光景だった。

 被災者の方々に話を聞いた。気丈に応えてくれる方や、こちらを気遣う言葉すらかけてくれる方もいた。「気を使って『大丈夫』と言う方も多い。助けを求め慣れていない」。ボランティアセンターで聞いた話がよみがえった。

 家財道具の搬出作業を手伝った時、水を吸った畳の重さを知った。想像をはるかに超えていた。悲鳴を上げる両腕に、一瞬被災者の労苦をほんの少しでも感じた気がしたが、それも想像を超えているだろう。

 泥が積もった庭で、摘んでいた菊を下さった方がいた。葉は泥にまみれていたが、花はきれいなまま。どんな思いで摘んでいたのか。やるせなさとともに、相手の気持ちを推し量る難しさが身にしみた。伝える仕事をする上でどう向き合っていくべきか。花を前に自問自答を繰り返した。

(向山 俊恵)