熱い戦いと人々の歓喜を文章にするイメージはできていた。釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアムで大男たちが繰り広げるぶつかり合い、スタンドにこだまする歓声-。

 釜石市が開催都市の一つとなったラグビーワールドカップ(W杯)。その記念すべき年に釜石支局に転勤となった。スタジアムで大一番を取材することは今年最大の目標と言っても過言ではないのだ。

 チャンスは7月の日本代表戦とW杯2試合。日本戦と9月に行われたフィジー-ウルグアイ戦はパブリックビューイング(PV)会場や鵜住居駅周辺のにぎわいを取材した。

 そして巡ってきた10月のカナダ-ナミビア戦。念願のスタジアム取材班の一員に選ばれた。だが、喜んだのもつかの間、列島を襲った台風19号の影響で試合は中止となった。

 人命最優先で下された苦渋の決断。W杯決勝のPVを取材した際に市内の女性が「本当は現地でも見る予定だった」と浮かべた複雑な表情が忘れられない。

 市は現在、中止となった一戦を実現すべく模索を続けている。記者もまだスタジアムで両国を取材することを決して諦めてはいない。

(林昂平)