今春から外勤記者になり、住民が抱える思いを記事で伝える責任を感じている。一番心に残った取材は、11月に奥州市で開かれた認知症の人と暮らす家族の交流会だった。

 市地域包括支援センターが主催し、参加者同士が介護についての困りごとや体験談を共有した。「認知症の親にいら立ち、ひどい言葉をぶつけてしまった」「周りの住民の目が怖くて、介護の悩みを相談できない」など、抱えていた思いを吐露した。一つ一つの言葉に衝撃を受けたが、同じように悩んでいる人はたくさんいるのだと思う。

 参加者は仲間と打ち解けるうちに笑顔が増え、会の終盤には「お互い支え合って元気にやっていこうね」と声を掛け合っていた。一人で悩みを抱え込むのではなく、仲間の実例や体験談を知り、思いを共有することで心が少し軽くなるのかもしれないと思った。

 県内には認知症だけでなく、同じ悩みを抱える人の意見交換の場がたくさんある。その現場に足を運び、抱える思いや困りごとを聞き、紙面を通じて読者と問題を共有することも記者の大切な仕事の一つだと考えている。

(大橋秀喜)