高校最後の1年間「卒業前にこれはみんなに知ってほしい!」という視点で3年生が記事を選び、クラスのミニプレゼンテーション(ミニプレ)を行っている岩手町の沼宮内高(千葉雅彦校長、生徒118人)。記事から課題を見つけて「問いを立てる」ことを目標に深く読み込むことを徹底。発表手法は紙芝居プレゼンテーション(KP)法を取り入れている。

授業でミニプレ

 「問いを立てる」狙いについて、NIE担当の山下佳子教諭は「問いに対する答えは見つからなくてもいい。答えを見つけようとすることが深い学びにつながる」と期待を込める。

 3年生は週3回、現代文の授業で最初の5分から10分間、ミニプレを実施。発表担当者はA4サイズの白紙に大きな字で目立つように記事のポイントを書いておき、紙芝居のように説明に合わせて順番に黒板に貼っていく。用意する枚数は1人平均5枚ほど。マーカーで色付けしたり、デザインを施したり、目を引くための工夫が見られ「個性が出て面白い」と山下教諭。

 11月の授業で発表した山口里奈さんは「保育士の自己肯定感31% OECD調査 8カ国中、日本最低」(10月31日付・岩手日報)の記事を選んだ。問いは①なぜ人材不足になるのか②対策はあるのか-の二つ。①の原因については責任の重さ、事故の不安、研修体制の不満-と分析。②の対策については、給料を上げる、勤務時間の見直し、風通しのよい職場づくり-などを挙げた。「追い込まれることがストレスにつながる。保育の質を保つには勤務の見直しが必要だと思う」と感想を述べた。

基礎となる力

各学年の学習室に設置され、いつでも紙面に目を通せる新聞コーナー

 ミニプレでは、ほかに「移民差別」と「レジ袋有料化」の記事が取り上げられた。

各自数分でスピーチを終了。毎回タイムを計測している山下教諭は「発表は見やすく分かりやすく。時間をオーバーしないようにまとめる力、情報を取捨選択する力、自ら学ぶ力が必要になる。これらの力は学力の基礎となる」と成長を見守る。

 授業でのミニプレは3年生が3巡目、同様に取り組む1年生は2巡目に入っている。2年生も記事紹介などを行っている。

 各学年の学習室に設置している新聞コーナーには毎日朝刊が届く。生徒は紙面に目を通し発表の準備をしている。

 同校のNIEについて、山下教諭は「生徒から就職や進学の試験で役立ったと言われる。最初は慣れなくても1年生のうちから積み重ねることで力がつく」と活動を推進する。


デジタルで最新記事 紙と併読し授業に活用

プロジェクターでデジタル版を映し、最新記事を生徒に説明する山下佳子教諭

 山下教諭はNIE活動に紙面のほか、デジタル版を活用している。プロジェクターで映し出された水辺で憩うハクチョウの写真と記事。見出しは「冬の訪れ告げる使者」(11月8日付・岩手日報)。同日の1年生の漢文の授業で二十四節気について説明した。

 「きょうは二十四節気の一つ、立冬です。ニュースでも『暦の上では…』と紹介されることが多いです。ほかの二十四節気も分かりますか」と質問。

 生徒は国語の便覧を使って立冬を調べ、立春や立秋なども確認した。二十四節気は一年を春夏秋冬の四つの季節に分け、さらに季節ごとに六つに分けて季節の節目を表すもの。新聞と教材を組み合わせながら旬の話題や暮らしに役立つ知識を吸収している。

 デジタル版で記事をチェックするようになった山下教諭。授業に関連がある記事や生徒に読んでほしい記事があると、自分のスマートフォンをプロジェクターにつなぎ、記事を紹介している。「新しいニュースを授業ですぐに共有できる。今後もNIEに活用していきたい」と語る。