リレーエッセイ イワテライフの楽しみ方

青栁真さん第3回(全4回)

 
『FUDAN』のお椀を制作中。2回目の研ぎの工程です

 安代に漆の勉強に行っていた弟が帰ってきて、一昨年から一緒に仕事をするようになりました。弟曰く、「もっと普段使いに使ってもらえる漆器を作りたい」とのこと。確かに秀衡塗は金箔の加飾があり、「使わずにしまっている」という声も多くありました。弟といると、なんだか何にでも挑戦できそうな気分になっていたので、普段使いに特化した新ブランドの商品開発を始めることにしました。

 丁寧な拭き漆で仕上げることだけを決め、どんなアイテムをそろえるかなどをあれこれ話していましたが、最初に仕上がったのは、ロゴマーク。毎度経営についてアドバイスをいただいている方の助言により、「Tシャツ」をロゴマークにし、ブランド名を『FUDAN』と名付けることにしました。毎日何気なく着るTシャツのように普段の生活に馴染む漆器にしたい、という想いを込めたものです。

 最初の商品は、2種類のお椀と盃。お椀の形は、最古の秀衡椀「椿文漆絵椀」をモチーフにしました。秀衡椀の魅力の一つである「ふっくらと手に馴染む」という感触を表現しています。『FUDAN』は軌道に乗り、カップ、皿、箸が追加され、今後も新商品を開発予定。正直なところ作るのは大変なのですが、使っている人に「とってもいい感じです!」と声を掛けられると、「作って良かった」と報われます。

今月の人 青栁 真さん
秀衡塗工房の(有)丸三漆器の5代目当主。2008年に広告代理店を退社し帰郷。『漆絵ワイングラス富士・赤富士』などの商品開発、製造、販売と、秀衡塗の魅力を全国に発信しています。