リレーエッセイ イワテライフの楽しみ方

青栁真さん第2回(全4回)

 
最古の秀衡椀『椿文漆絵椀』の復刻

 秀衡椀は、平安時代末期に藤原秀衡が京より工人を招来し作らせた……という定説がありますが、文献や実物は残っておらず、現存する最古の物は約500年前の物となっています。「藤原の清衡の時代に金色堂ができているから、その職人が作ったのでは?」「金と漆が採れる地方だったから?」「そもそも秀衡の時代にはできておらず、きらびやかな藤原文化を思い、作られたのでは?」。この空白の時間にさまざまな思いを馳せることができるのも、秀衡塗の魅力だと思います。

 事実としてわかっているのは、昭和13年の「民藝の父」柳宗悦による秀衡椀の調査で、これをきっかけに広く作られるようになりました。民藝とは簡単に言うと、「用の美」を備えた日用雑貨のことです。秀衡塗はきらびやかな加飾はされていますが、民藝としての顔も持つ、一風変わった漆器ということになります。

 私はこの民藝としての秀衡塗を、商品開発の軸にしています。普段使いの器として、どんなものを作ったら今の生活に受け入れてもらえるのかを日々考えていましたが、2年ほど前から一緒に仕事をしている弟の発想から、現時点での答えとなるような『FUDAN』というブランドを作ることができました。この『FUDAN』の商品開発については、次回お話ししたいと思います。

今月の人 青栁 真さん
秀衡塗工房の(有)丸三漆器の5代目当主。2008年に広告代理店を退社し帰郷。『漆絵ワイングラス富士・赤富士』などの商品開発、製造、販売と、秀衡塗の魅力を全国に発信しています。