「イガイガ スルメ スルメイガ」…。劇中歌を口ずさみながら先週末、山田町大沢地区に向かった。大沢小児童の全校表現劇「海よ光れ」を見に行くのが、ここ数年の恒例になっている

▼豊かな海と共に生きる大沢の人々の姿を描く、郷土愛あふれる群像劇。照明やメークなどを裏方で手伝っている友人の誘いで見に行って以来、すっかりファンになった

▼ストーリーも劇中歌も大体頭に入っているが、子どもたちの懸命の演技に、見るたび熱いものがこみ上げる。ただ、今年は寂しい。同校は来年度統合するため、1988年に始まった劇は、今回で見納めなのだ

▼劇中では明治三陸大津波をステージ上で表現するシーンもあったが、東日本大震災津波後はカットされている。最後の発表となる今回、そのシーンを復活させるかどうか、子どもたちの間で議論になったそうだ

▼津波の教訓を伝えるために、復活させるか。それとも、感情的に受け入れがたい人への配慮を続けるか。子どもたちは、先生や家族にも意見を聞いた上で話し合ったという。その結論は「復活させない」だった

▼ステージで輝く、達成感に満ちた児童。涙ぐみつつ拍手を送る観客。「海よ光れ」は終わった。子どもたちが自ら考え、判断し、表現する力を培う、小さな学校の大きな教育実践。確かに次代に受け継ぎたい。