車を運転中、ドキンと心臓が鳴った。とっぷりと暮れた夕刻、信号のない十字路交差点の手前の横断歩道で左手に歩行者を認めて停止した直後、後続車が右側から猛然と追い越して行った

▼目の前で、追い越し車両の前照灯を浴びた歩行者がのけぞる。その車は、速度を緩めることなく走り去った。横断者がゆっくり歩いていたからよかったものの、少しでも足早だったらはねられていたに違いない

▼くだんの車の運転者が、歩行者に気づきながら止まらなかったとしたら悪質だ。横断歩道も歩行者も目に入らなかったとしたら、適性が疑われよう。横断妨害が交通違反に当たる認識がないとしたらなおさらだ

▼日本自動車連盟(JAF)の今夏調査では、信号機の無い横断歩道を歩行者が渡ろうとしている際、止まった車の割合は全国平均17・1%。本県は47都道府県中27位と中位だが、停止率は13・7%。平均以下だ

▼悲しいかな、歩行者としては大半の車は止まらないと達観して慎重に構える必要があるだろう。一方で運転者としては、夕暮れが早まり、たとえ歩行者が横断の意思を示しても視認しづらい場合があるのは確か

▼かくいう自分も、それと知らず他者の安全を脅かしているケースがあるかもしれない。歩行者も運転者も自らの判断を過信しないこと。「身の丈」を知るのも必要だ。