明日は明日の風が吹く(Tomorrow is another day)。映画でおなじみ「風と共に去りぬ」の名言は、前向きな言葉だと思われている。「今日苦労しても、明日はうまくいく」と

▼でも、実は違うらしい。「明日も新たな苦労がある。今日思い悩んでも仕方ない」。本来の意味を、翻訳家・鴻巣(こうのす)友季子さんが説く。そういう諦めは、アイルランド移民の物語であることに関係するのかもしれない

▼アイルランドの問題が欧州を揺らしている。いつまでたっても英国が欧州連合(EU)を離脱できないのは、その問題を解決できないことにある。毎日のように風向きが変わって、いったい明日はどうなることか

▼北と南に分かれたアイルランド島の南はEU加盟の独立国だが、北は英国領だ。今は自由に行き来できる500キロの国境を、どう管理する。英議会で決着がつかないまま、ついに離脱は3回目の延期となった

▼その英下院が明日、解散する。どんな風が総選挙で吹くのか。今日思い悩んでも仕方ないが、国境を巡り流血の昔があるアイルランドの人々もやきもきしていよう

▼だが遠い欧州を心配している場合でもない。わが内閣も、日替わりで大臣が辞任したり、失言したり。明日はどんな不祥事があるのか。首相の苦悩を察するが、自ら選んだのだから仕方ないか。