地域と団結 復興描く

 福島県の教育復興のシンボルとなる広野町の県立中高一貫校「ふたば未来学園」(丹野純一校長、中学生81人、高校生362人)の校舎内で、高校生が部活動の一環としてカフェを運営している。訪れた住民との交流を通して地域の課題に向き合い、解決に向けて共に知恵を絞る場となっている。東日本大震災からの復興に挑もうと、若い力が地域との団結を強めて奮闘する。

 カフェは6月にオープンした。4月のふたば未来学園中の開校に伴い、中学、高校を併設する形で整備された新校舎の一角に、温かな雰囲気のカウンターや客席が並ぶ。「いらっしゃいませ」。放課後、そろいのエプロンと帽子を着用して接客する生徒たちの明るい声が店内に響き渡る。

 震災後、休校を余儀なくされた双葉郡内の県立高5校を集約する形で、中学に先立ち2015年に高校が開校して4年。1期生の生徒たちが地域一丸となって復興に向かうため「学校を人の集まる場にしたい」と抱いた思いを後輩たちが受け継ぎ、カフェ開設という形で実現させた。

地域の課題について住民らと話し合う生徒

 店名は「cafeふう」。タンポポの綿毛が「ふう」と飛ぶように、この場所から未来に羽ばたきたいとの願いが込められている。地域活性化を目指す部活「社会起業部」の部員有志によるカフェチームが運営し、経営母体として一般社団法人「たんぽぽ」を設立した。生徒が研修を重ねてハンドドリップの技術を磨いたコーヒーや手作りケーキなどのスイーツが人気だ。売り上げは、生徒自らが考える新商品開発や、授業中の営業時間に雇っているアルバイトの給与などに充てている。

 カフェは授業を終えた生徒をはじめ、地域活性化に取り組む住民やNPO関係者など、さまざまな立場の人でにぎわう。オープンから5カ月を迎えるが、今も100人以上が訪れる日もあり、客足は途切れない。カフェチームリーダーで2年生の是次美優さんは「お客さまに飽きられない工夫など課題はあるが、地域に愛されるカフェとして定着してきた」と胸を張る。

 高校は開校時から生徒自らが地域の課題を見つけ、解決策を考える独自の授業「未来創造探究」を取り入れている。生徒はカフェで校外の人とも交流、地域を巻き込んで被災地の将来像を描こうとする取り組みが加速している。

 カフェは全国的に注目されつつある。8月には高校生が地域課題への取り組みを発表する「第4回全国高校生ソーシャルビジネスプロジェクト(SBP)チャレンジアワード」で、カフェチームが最高賞の文部科学大臣賞を受賞した。是次さんは「今後は世界に目を向け、カフェ運営の中で脱プラスチックや食品ロス削減などの課題の解決策を考えたい」と力を込めた。

(福島民友新聞社)

 

支える人たち
 

授業外の学びに意義

横山和毅さん

 カフェがあるスペースの一角には、全国で教育支援活動を展開しているNPO法人カタリバが常駐している。メンバーの一人で学校支援コーディネーターの横山和毅(まさき)さん(31)は「生徒と住民の距離が縮まり、授業以外の学びの場となっている」とカフェ開設の意義を強調した。

 カタリバは、2017年にふたば未来学園高に迎えられ、放課後の学習支援などで生徒をサポートしてきた。横山さんは生徒が授業「未来創造探究」などで設定した地域課題について、専門知識を持つ人を紹介するなどコーディネート役も担っている。カフェ店内の模様替えの際にはアドバイスなどを通し、生徒とともに魅力的な空間づくりに取り組む。

 横山さんは「地域に住んでいる人しか分からない課題や思いがある。より気軽に足を運べるよう工夫を凝らし、復興に向けた学びが加速する場にしたい」と意気込んだ。

 

首都圏と古里つなぐ

石井美有さん

 「カフェに立つ後輩のりりしい姿が誇らしい」。カフェ開設の準備に携わり、今春にふたば未来学園高を卒業した石井美有さん(18)=立教大経済学部1年=は感慨深げに話す。

 石井さんは同校の専門分野を学ぶスペシャリスト系列で経営や商品開発などを学んだ。飲食関係の仕事に就きたいという将来の夢の実現に向け、3年の夏にカフェ開設の準備に追われていた社会起業部に入部。店名「cafeふう」を考案するなど準備の中心を担った。

 古里は、震災後、全町避難が続く双葉町。「復興の力になりたい」。そんな思いで大学進学と同時に一般社団法人「結び葉」を設立。首都圏で母校の後輩が開発した商品の販売会を企画するなど古里の魅力PRに奔走している。

 今後もカフェチームを含め後輩たちに新しい商品の開発や販売、販路開拓といった実践を積み重ねる機会を提供するつもりだ。石井さんは「大学の震災ボランティアサークルとも連携し、首都圏と古里をつなぐ取り組みを強めたい」と力を込める。