宮古市の宮古高(遠藤拓見校長、生徒588人)は国語や総合的な探究の時間でNIEを展開している。記事の要約、感想、プレゼンテーションなどを通じて読解力や思考力、表現力、情報収集力、分析力などを育む。

班ごとに交流

 1学年は国語総合(現代文)の「話す・聞く」領域の「言語活動」の一環として授業で週1回約20分間、NIEに取り組んでいる。新聞活用について、浦川謙一教諭は「記事を読んで社会に関心を持ち、主体的な社会参画への意識を醸成したい」と狙いを語る。

 班ごとにスクラップノートを作り、記事の要約や、なぜその記事に注目したか理由を述べるプレゼンテーション(プレゼン)を行う。スクラップノートの名前は「てわた新聞」。「手渡し」と「新聞」を掛け合わせて名付けた。班の1人が記事をスクラップし、授業後に次の人へ手渡すルール。1本の記事から生まれるコミュニケーションが社会への視野を広げる。また、1年生のうちから2年後の面接対策をスタートし、活動の成果を「将来の自分へ手渡し」する意味も込めた。

 1クラスを記事の分野別に▽環境▽経済▽教育▽IT▽介護福祉▽医療▽政治▽グローバル-の8班に分けて活動。進路に役立つ記事に多く触れてもらうため、生徒に希望を聞いて3、4人の班をつくった。プレゼンは持ち回りで行い、担当者は授業の前に記事を1本選んでおく。

記事スクラップの隣のページにスピーチの感想や評価を記録していく「てわた新聞」

 今月上旬、1年E組の授業では「政府 防災費拡充へ」「『観光公害』克服目指す」「AR活用 天気アプリ」「問われる保育の質」「視覚障害者を後押し」など、各班からさまざまな記事が集まった。

 クラス全体へのプレゼンで「台風19号で見えた課題」についてスピーチした竹原明子(あかね)さんは「地球温暖化に伴う温度上昇で積乱雲がより発達しやすい状態になっている。台風を自然災害だからとあきらめるのではなく、自分たちにもできることがあるはずだ」と呼び掛けた。

 発表を聞いた班のメンバーは評価シートに「他の国も対策を考えているか気になった」「私たち個人ができることを考えた」「前回とつながる記事を選んでいる」などとコメントを寄せた。

専門家目指す

 4~6月(第1期)は教師が記事を用意。6~9月(第2期)は生徒が自由に選んだ記事を使用。9~11月(第3期)は分野別に班を編成。年度末には全体発表会を企画している。

 浦川教諭は「進学や就職を見据え、関心ある分野に詳しい『専門家』になるつもりで取り組んでいる。記事から知識を吸収し、思考を深め、面接などでも根拠に基づいた話ができるような力をつけてほしい」と期待を込める。

読解力や思考力磨く 各教室に新聞配備

 宮古高は本年度「総合的な探究の時間」の実施計画にNIE活動を盛り込み、朝のニュースや、夏や冬の長期休み中のスクラップなどに取り組んでいる。各教室には新聞を配備。3学年には全国紙と地方紙の2紙、2学年は全国紙1紙、1学年は地方紙1紙を置き、いつでも手にとって読めるようにしている。

 朝のニュースは毎週火、木曜日朝にワークシートを使って実施。1、2年生はこれまでに「キャッシュレス波高し 県内普及へ動き加速」(4月24日付・岩手日報)、「県内外国人の支援急務 改正入管難民法増える労働者」(5月12日付・同)、「『生誕』の鍵完璧に はやぶさ2地下物質採取」(7月12日付・同)など幅広く記事を読んできた。

 10分間で取り組むワークシートの課題は①記事の重要だと思う文章全てに線を引く②自分の考えを書く-の二つ。経済や科学、国際など多様な記事に触れ、読解力、思考力、表現力を磨いている。

 長期休みに取り組む探究スクラップは、探究の時間の各自の研究テーマに関する記事を集める。情報収集力、分析力、自主性を育てるのが狙いだ。

 2学年の図書担当でNIEを推進する岩城桂子教諭は「生徒は短時間で読み、自分の考えを書き切るスピードがついてきた。感想だけでなく、社会の課題を見いだして考えを深めた記述も見られるようになった」と評価する。