奥州支局に着任して約1カ月。南部鉄器や岩谷堂箪笥(たんす)など地元ならではのものづくりを取材する機会があり、職人の技術に刺激を受けている。

 奥州市の南部鉄器製造業及富は今秋、同市の国立天文台水沢VLBI観測所の研究員による史上初のブラックホール(BH)撮影成功にちなみ、BHを模した南部鉄器の急須を開発。

 実物のイメージが湧かなかったが、赤やオレンジ色の顔料で彩られた実物が現れると吸い込まれるような美しさを感じた。

 職人は、BHの色のグラデーションに試行錯誤。光の当て方によって色が変わって見えるため、屋外と屋内の光を見比べ、記者も試行錯誤しながら撮影した。

 一関市、平泉町、奥州市の3市町で今月開催した五感市では、同市の岩谷堂タンス製作所を取材。引き出しの使い心地を良くするため、何度も何度もかんなで木を削る職人の姿が印象的だった。製作所全体に響くかんなの音や木の香りに包まれ、まさに五感を刺激される取材だった。

 胆江地方は五感を刺激される宝物がたっぷりある。工芸品の色彩、たんすの木の香り、南部鉄器の肌触り、彫金作業の音、江刺りんごの甘み。これからも五感をフル活用させ、現場の臨場感を伝えていきたい。

(大橋秀喜)