林立するビル群がまばゆい百万ドルの夜景、路地裏に一歩入れば人々の暮らしが見える雑多な雰囲気…。香港が好きで何度か訪れたことがある。人々はエネルギッシュで、実にたくましい

▼そんな印象が強く残る街で、政府への抗議デモが続いている。「逃亡犯条例」改正案を契機に、活動は約5カ月に及ぶ。黒いシャツにマスクで座り込む姿。催涙弾の発射や暴行など激しい応酬も伝えられている

▼活動のさなか、現場近くのビルから男子学生が転落した。民主派はデモに絡む「初の死者」と非難。さらには、警官が至近距離から発砲し、若者が重傷を負った。瞬間を捉えた映像が拡散して衝撃を与えている

▼抗議活動は今に始まったことではない。普通選挙実現を求めて繰り返され、声を届ける手段として選ばざるを得ないというのだ。激しさの裏にある苦しみの大きさを感じる。片や日本では、静かなデモが広がる

▼性暴力根絶と刑法見直しを訴えるフラワーデモ。盛岡など全国各都市で毎月11日に開かれている。女性だけでなく男性、友人同士で参加する人も。花を手に、輪にそっと加わる。思いを受け止め、共感する場だ

▼怒りと悲しみは、表裏の関係。マイクを通して語る声からは、決意や覚悟が伝わってくる。でも、それは一人ではないから。不思議と温かな空気に満ちるデモもある。