久々に会った遠来の友と食事して、お互い貫禄を増した腹をなでなで会計の段。「おごる」と言うと「次に会いづらいから割り勘にしよう」と拒む。見かけは変わっても中身は変わらない

▼「割り勘」は「割り前勘定」の略。飲食代を参加人数で割るおなじみの支払い方式だ。はしりは江戸後期の戯作者山東京伝とされる。一人が全額を払うのが通例だった当時には珍しく、「京伝勘定」と呼ばれた

▼京伝は浮世絵師としても名をはせ、現在の東京・銀座に開いた店で自らデザインしたたばこ入れが大流行。羽振りはよかったはずだ。けちを疑う見方の一方で、供応でゆがむ人間関係を憂えたが故との説もある

▼明治後期になると「兵隊勘定」という表現が登場する。「同じ身の上なら勘定も一緒」「兵隊は足並みをそろえる」など、その由来には諸説。「明日をも知れぬ命だから貸し借り無く」というのは説得力がある

▼勘定の均等割を「割り勘」と総称するのは昭和初期以降というから、さほど古い言葉ではない。戦後の高度成長期は、多くの国民が「一億総中流」と認識していた。割り勘が市民権を得たのも時代というべきか

▼国費で行う首相主催の「桜を見る会」に首相の支援者を多数招き、私物化しているとして野党が追及の構えだ。とかく「おごり」が取り沙汰される1強政権ではある。