信じられない光景がテレビ画面から飛び込んできた。あの歴史的な場所が燃え上がっている。那覇市の首里城火災のニュースには、沖縄県民ならずとも多くの人が強い喪失感を抱いたのではないか

▼しばらく前に旅した時の記憶が今も残っている。鮮やかな朱色の城、見渡す街の風景、その先に広がる青い海。その時は米軍基地を見た後だっただけに、余計に沖縄の歴史と自然に思いを深くしたのかもしれない

▼岩手からも訪れる人が多い名所。明治の廃藩置県で琉球王国が廃止されるまでの450年間、政治や祭礼の拠点として王国と運命を共にしてきた。しかし、太平洋戦争で焼失。地元民は復元を強く願った

▼そうして鮮やかによみがえった沖縄復興の象徴は来年、東日本大震災からの復興を目指す陸前高田市にある「奇跡の一本松」などと東京五輪の聖火リレーでつながることに。世界文化遺産の地として魅力を発信するはずだった

▼「心のよりどころ」を失った沖縄の人々の心痛はいかばかりだろう。それでも再び復元に向けて立ち上がるに違いない。よみがえる日のために、全国から、もちろん岩手からも支援を送りたい

▼今年はパリの世界遺産ノートルダム寺院が焼け、衝撃を与えた。それが日本でも起きるとは。火災は防げる。食い止められる。人類の財産を守らなければならない。