全国的にも記録的な不漁が続くサンマ。ようやく10月に入って、宮古市でも初水揚げされた。県に記録が残る1994年以降で最も遅い。魚体が小さい上、量も例年に及ばず「浜に活気」にはほど遠い

▼まさにサンマ異変。9月下旬から一関市のスーパーで探し求めたが、ありつけず、わが家の食卓に初物が上がったのは宮古に水揚げされた、その日だった

▼ここまで秋の味覚を食べずにいた記憶がない。「目黒のさんま」の殿様のように待ちわびたと言えば、大げさだが、やっと出合えた1匹140円の北海道産を塩焼きで味わった。一緒に購入した解凍物と並べても、間違えようのないほど小さく身が薄い

▼味も推して知るべし。脂ののりは、いま一つ。ジューシーとは言い難い。対して、安価な解凍物はなかなかのうまさ。どうりで解凍物も品薄になるはすだ。日本の冷解凍技術の進歩を喜ぶべきか

▼漢字で書けば秋刀魚。形も色も刀に似て、秋に捕れる魚という、ぴったりの字が当てられる。中学生の頃、気仙沼港へ釣りに出かけ、水揚げしたトラックの荷台からあふれた、おこぼれをウミネコと競って拾ったのが懐かしい

▼「さんま、さんま、さんま苦いか塩っぱいか」(佐藤春夫)。漁家も今年はひときわ苦いと感じているだろう。復興に向かう三陸沿岸が大漁に沸く光景を再び見たい。