臨時国会が召集された。6月に通常国会を閉じて以後、約3カ月ぶりの本格論戦だ。

 内政、外交それぞれに課題や懸案が山積する中で、これほど長期に国会が機能しない状況は、国民不在の政治を疑われても仕方あるまい。「1強」政権の下請け機関ともやゆされる国会が反省すべき材料は、与野党双方にある。

 この間、参院選を経て新任13人を含む第4次安倍再改造内閣が発足。野党側では立憲民主、国民民主両党を中心に旧民主党勢力が、衆参両院で共同会派を立ち上げた。先の参院選ではれいわ新選組が躍進するなど新たな風も吹く国会だが、課題・懸案への対応は待ったなしだ。

 安倍晋三首相は所信表明演説を憲法改正への意欲で締めくくったが、各メディアの世論調査で関心は低いまま。政治エネルギーの使いどころを見誤らず、社会保障や経済政策などの充実を望む国民世論に応える議論で、その付託に応えなければなるまい。

 会期は12月9日までの67日間と、第2次安倍政権以降の臨時国会で2番目の長さながら、天皇陛下の皇位継承に伴う儀式や首相らの外交日程もあり、審議日程は窮屈になりそうだ。政府は新規提出法案を15本と、昨秋の13本に次いで少なく絞り込んだ。

 中でも重視するのが、日米首脳が最終合意した新たな日米貿易協定承認案。政府は米側の想定に歩調を合わせ、来年1月1日の発効を目指す。

 合意では、危惧されたコメの無関税輸入枠導入は回避されたが、米国産牛肉など多くの農産品の関税が環太平洋連携協定(TPP)と同水準に引き下げられる。本県など農業県への影響はもとより、日本の食料環境の未来に関わってメリット、デメリットの多角的な検証が求められる。

 景気が減速傾向にある中での消費増税も大きな論点。財務相が報告書の受け取りを拒むなど、政府が火消しに躍起な「老後2千万円」問題とも相まって、国民の生活不安は増している。

 野党側は消費税率の引き下げや廃止を主張している。アベノミクス効果に実感が薄い地方にも理解できる「経済の好循環確保」(安倍首相)の具体論を示してもらいたい。

 与野党対決型の法案が見当たらない今国会では、野党側の課題認識が一層問われそうだ。共同会派を組んだ立民や国民は、あいちトリエンナーレへの補助金不交付や関西電力幹部らの金品受領問題などに照準を合わせる。

 共同会派は次期衆院選での野党共闘の試金石。改憲や原発政策への姿勢など、重要課題のすり合わせを棚上げした形の結集が、国民にどう評価されるか。野党勢力の今後を占う国会ともなるだろう。