「芸術の秋」を、のほほんと楽しむ気分になれない昨今。「あいちトリエンナーレ2019」では、企画展「表現の不自由展・その後」出品作品が論議を呼び、対立と混乱が深まる一方だ

▼そもそも芸術って何だろう。今週、盛岡市で開かれた障がい者アート活動支援研修会(県主催、県障がい者芸術活動支援センターかだあると運営)は、障害や芸術の枠を超え、わくわくする世界を開いてくれた

▼講師は、花巻市のるんびにい美術館アートディレクター板垣崇志さん。福祉や教育関係者らが参加し、2人1組での実習。一人が絵を描き、もう一人が観察する役目だ

▼「観察するのは作品ではなく、描いている人です。『描きづらそうだ』とか、どんなことを感じながら描いているかをメモ用紙に書いてください。言葉を発しちゃだめですよ」と板垣さん。戸惑いと緊張が走る

▼試験会場のような重い空気。観察も遠慮がち。制限時間が終わった途端、参加者の表情が和み、メモを発表して盛り上がる。実習が進むうち、隣同士の距離感が縮まり会場の雰囲気がどんどん親密になっていく

▼作品には、作者がいる。考えてみれば当たり前。「芸術って何だろう」という問いを「この人ってどんな人なのかな」に置き換えてみたらどうだろう。人と人が理解し合おうとするさまは、こんなにも楽しい。