盛岡のソウルフードと呼ばれる「福田パン」。昨年70周年を迎えたのを機に、創業者の生涯をたどり、現社長らの思いをつづる本「福田パンものがたり」が発刊された。終戦直後の創業時に掲げた「安くておなかが満たされるもの」や地元密着を貫く理念のほか、宮沢賢治との縁も紹介し、庶民の胃袋を満たす福田パンの魅力が詰まる一冊となっている。

 福田パンは1948年、福田留吉さん(1906~84年)が創業。節目の昨年、盛岡ブランド推進に寄与したとして盛岡市から「もりおか暮らし物語賞」を受賞。令和を迎えて、経営の心掛けや創業の歴史などを残そうと、3代目の潔社長(50)が盛岡出版コミュニティー(盛岡市)に協力を求め、同市の高橋文彦さんが執筆した。

 前半は、現社長や従業員の思い、寄せられた客の意見を掲載。「大量生産となればクリームを機械で充填(じゅうてん)しなければならず、そうなると福田パンとは別物」とクリームの手塗り作業へのこだわりなどを紹介する。

 後半は、留吉さんが稗貫農学校(現花巻農高)で宮沢賢治に学んだことなどを記す。終戦直後の混乱期で創業当時の資料がほとんどない中、留吉さん直筆のノートや過去の出版物から当時をひもといた。

 B6判、191ページ。1430円。県内書店で購入できる。問い合わせは発刊委員会事務局の盛岡出版コミュニティー(019・623・2610)へ。