子どもたちの息苦しさが伝わってくるようだ。文部科学省は2018年度いじめ認知件数が全国で約54万4千件の過去最多となったことを明らかにした。前年度から3割、約13万件増。積極的な認知が進んだと肯定的に捉えるが、取り巻く状況が依然として深刻であることに変わりない。

 県内でも同様の傾向にある。県教委のまとめでは、公立学校のいじめ認知件数は7694件(前年度比15・6%増)。小中高校などいずれの校種でも冷やかしやからかい、悪口が最も多い。小学校では、軽くぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたく、蹴るといった行為も目立つ。

 仲間はずれや集団による無視のほか、中高生になるとパソコンや携帯電話を介した誹謗(ひぼう)中傷の割合も増す。スマートフォンや会員制交流サイト(SNS)の普及で広がるネットいじめ。大人から見えにくい形で、問題がエスカレートしている可能性もある。

 13年施行のいじめ防止対策推進法で定義が広がり、より軽微なケースでの報告につながっているのは確かだ。学校が行うアンケート調査などの取り組みが発見の大きなきっかけにもなっている。

 いじめられた子どもたちの相談先は担任教諭が多く、保護者ら家族が続く。しかし、誰にも打ち明けられない子も一定数いる。「いじめられていると認めたくない」「知られるのが恥ずかしい」など、さまざまな感情を抱え、孤独を深めているのではないか。

 深刻化して心身に大きな被害を受けたり、長期欠席となる「重大事態」も全国的に増えている。

 不登校の小中学生は全国で16万4千人を超えた。学校からの報告では、いじめに起因するのは1%にも満たないという。家庭環境の変化や親子関係、家庭内不和といった家族状況のほか、いじめ以外の友人関係、学業不振などが主な原因に挙がった。

 学年が上がるにつれて、学業や進路に関する悩みも増していく。不登校傾向にある中学生は10人に1人と推計した調査もある。学校や家庭に、窮屈さを感じる子どもが少なくない現状だ。

 調査そのものは、いじめやその他の問題を把握し、解消に向けた始まりにすぎない。子どもを守る社会へ大人は全力を挙げなければならない。

 学校現場で研修やスクールカウンセラー配置など相談・支援体制づくりも進む。学校の感度と対応力を高めるとともに、家庭や地域との連携がより重要だ。

 居場所がないと思い身動きがとれない子どもたちに、多様な選択肢や価値観が社会にあることも伝えたい。一人一人が大切な存在であると実感できることが力になる。