東日本大震災後、母の実家のお墓を見に行ったら、墓石がなかった。津波の威力はものすごい。後日再訪したら、墓地はかなりきれいに。屈強なボランティアが来て片付けてくれたそうだ

▼ボランティアの力もすごい。恩返しの気持ちもあり、その後の災害時には、できる限りボランティアに行くようにしている。台風19号後は、山田町と普代村に行った。床下にたまった泥かき作業。ずっしり重い

▼昨年、大分県の尾畠春夫さんが「スーパーボランティア」として話題になったが、本県被災地でも、スーパーおじさんと出会う。相当な場数を踏んでいるに違いない。一緒に作業すると、教えられることが多い

▼まず、段取りがいい。家人の要望、家の間取り、床下の泥のたまり具合などから、作業手順をささっと決める。長靴に付いた泥で家の中をこれ以上汚さないように、通路にブルーシートを敷くなど配慮も細やか

▼段取りがいいから作業もはかどる。進み具合を見に来て「お世話さまです」と感謝する家人に、寡黙なおじさんが口を開く。「残りは自分でやろうなんて無理せずに、また頼んでね。いーのいーの遠慮しない」

▼短いやり取りを聞きながら、泥かきを続ける。度重なる災害に痛めつけられた被災者が、支援を得つつ、立ち上がっていく。床下からの光景は、どろどろだが美しい。