排除から共生へ、性的少数者(LGBT)に対する社会の意識が少しずつ変わってきている。「いないもの」とされてきた当事者が、自ら声を上げ始めたことが大きい。

 LGBTの存在を前提とせずに組み立てられた法制度の課題も浮かび上がってきた。その一つが、同性婚の問題。同性カップルは法定相続人になれないなど不利益は多い。

 世界的には、欧米を中心に30カ国近くが同性婚を容認。伝統的家族観が根強いアジアでも、台湾で法制化された。

 日本も法制化に向かうだろうか。「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立する」と規定する憲法24条の解釈をめぐり、先月の宇都宮地裁真岡支部の判決が注目されている。

 長年同居し、米国で結婚した同性パートナーの不貞行為で関係が破綻したとして、30代女性が損害賠償を請求した訴訟。判決では「同性カップルでも、実態に応じて一定の法的保護を与える必要性は高い」などとし、元パートナーに慰謝料支払いを命じた。

 憲法24条については「制定当時は同性婚が想定されていなかったからにすぎず、同性婚を否定する趣旨とまでは解されない」「価値観や生活形態が多様化し、婚姻を男女間に限る必然性があるとは断じ難い」と指摘した。

 法制化への一歩として評価する声の一方、保守派は激しく反発。対立は根深い。

 実際、世代間のギャップは大きい。国立社会保障・人口問題研究所が全国の既婚女性6千人超を対象に実施した調査で、同性婚を法律で認めるべきとの回答は、総数では7割近くに上った。ただ、年代別で見ると、29歳以下は9割超が賛成だったが、70歳以上は4割程度にとどまる。

 高齢者層を中心に「LGBTを理解したい」という気持ちはあっても、同性婚は「家族の形が壊れる」「子どもが不幸」などと抵抗感を持つ人は多いことだろう。

 この問題を考える時に留意したいのが、日本には既に、子どもがいる同性カップルも少なくないという現実だ。

 ゲイを公言する南和行弁護士の著書「同性婚」によると、レズビアンやバイセクシュアル(両性愛)のカップルでは、子どもがいることも珍しくないという。男性と結婚していた時に授かった子どもを離婚に際して引き取り、女性のパートナーと事実上の再婚をしたなどのケースだ。

 「不幸」と見なされることを恐れ、多くが息を潜めて暮らす中、少しずつ、子育ての喜びをオープンに語る当事者も出てきた。同性カップルの声、子どもの声に耳を傾けたい。さまざまな「幸せの形」を考える契機になればこそ、同性婚の議論は実りあるものになるだろう。