リレーエッセイ イワテライフの楽しみ方

富川岳さん第4回(全4回)

 
筆者の地元である新潟県長岡市の長岡駅前

 「富川さんって、長岡のことホントに何も知らないんですね」。先日、地元・新潟県長岡市に帰省した際、移住者の方に言われてしまい、思わず笑ってしまいました。全国で2番目に酒蔵が多いことも、長岡花火を支える伝説的な花火師がいることも、移住者から教えてもらいました。遠野生活4年目となり、今では「地元の人より遠野に詳しいね」と言われることもありますが、自分の地元・長岡に関しては恥ずかしながら全く知らないのです。むしろ、身近すぎて真新しさがなく、知ろうとしない、という方が正しいかもしれません。遠野の文化や歴史をテーマに企画した際、地元の方々の集客が難しい理由も、こうして逆の立場になるとよくわかります。しかし一方で、移住者から客観的にふるさとのいい所を教えてもらうと、自分の中の〝地元観〟が上書きされ、なんだか少し誇らしくなる気もしました。

 「関係人口」という言葉の通り、地域への関わり方が幅広くなっている昨今。いきなり結婚のプロポーズをする人はいないように、すぐ移住・永住を迫るのではなく、気軽に関われる余白をつくり、新鮮な視点を柔軟に受け入れ、ソトとウチをいい塩梅に混ざり合わせることが、地域の魅力再発見やファンづくりにつながるのだと思います。遠野では十分受け入れていただき日々感謝していますが、長岡でも移住者の方がのびのびと動けるといいなぁと400km離れた故郷のことを想いました。

今月の人 富川岳さん
ローカルプロデューサー。1987年新潟県長岡市生まれ。都内の広告代理店を経て遠野に移住。土地の人や文化、物語の魅力を発信するプロデューサーとして活動中。