天皇陛下が国内外に即位を宣言された。皇位継承を示す「即位の礼」の中心儀式「正殿の儀」が22日、皇居・宮殿で執り行われた。

 即位の宣言は各国の王族、元首ら約2千人を前に、玉座「高御座(たかみくら)」から行われた。夜の「饗宴(きょうえん)の儀」では、皇后さまとともに参列者と和やかに交流されている。

 休日となったきのうは、多くの県民・国民が報道を通じて儀式に関心を寄せたことだろう。県民・国民とともに、即位を祝福したい。

 「憲法にのっとり、日本国および日本国民統合の象徴としてのつとめを果たす」。正殿の儀のお言葉で、陛下はそう誓われた。

 特に人々の心に響いたのは「国民の幸せと世界の平和を常に願い、国民に寄り添う」との部分だろう。「象徴天皇」の道を切り開き、退位した上皇さまの歩みを継承する決意と受け止められる。

 お言葉は上皇さまについて「いかなる時も国民と苦楽を共にされた」と、敬意を示した。その御心(みこころ)を自身の姿で示してきたことに「深く思いを致す」としている。

 1990年の正殿の儀で、同様に「象徴としてのつとめを果たす」と誓った上皇さまは、あるべき象徴像を模索し続けた。そして、自らの象徴像を「補い続けてほしい」と後の天皇に求めている。

 皇位を継承した天皇陛下は5月の即位の際にも「常に国民を思い、寄り添う」と述べた。まさに国民と苦楽を共にした平成の象徴像を受け継ぎ、補う考えとみられる。

 今回の正殿の儀は、多くの国民が苦難の日々を送る時期に重なった。台風19号で、岩手をはじめ13都県で人命が奪われ、人々が家を失い、避難生活を送っている。

 被害の拡大を受け、政府はきのうのパレード「祝賀御列(おんれつ)の儀」を11月10日に延ばした。被災者の心情を思えば、妥当な判断だった。

 即位の礼の儀式は、憲法が定めた国事行為として行われる。内閣の助言と承認により形式的に天皇が行う行為で、パレードの延期を天皇が求めることはできない。

 だが、延期は「国民に寄り添う」陛下の姿勢があるからこその判断とも言える。両陛下は被害に心を痛めているといい、象徴として国民の苦難に寄り添った形だろう。

 即位の礼は、三種の神器の安置などを巡り、憲法が定める政教分離の原則や国民主権に反するとの声もある。同時に行われた政令恩赦についても批判が出ている。

 天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基(もとづ)く」。憲法1条を読み返したい。象徴の在り方を決めるのは主権者・国民であることも、この機に改めて確認したい。