「トラブルに巻き込まれないように高齢者のスマホ教室が必要」「閉校校舎利用は花巻でも課題。地域活性化へ有効活用が大切」。花巻市の石鳥谷中(佐藤努校長、生徒356人)3年4組の29人はグループで発表後、原稿用紙に意見文を書き始めた。

「双括型」で書く

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 国語の単元「新聞の社説を比較して読もう」3時間の締めくくり。最初と最後で主張を展開する双括型の文章構成を学ぶ授業だ。

 生徒は、3~4人のグループに分かれ、あらかじめ切り抜いた新聞記事について発表。祖父がスマホを購入したという矢川秀さんは高齢者へのスマホ普及を伝える記事を選んだ。「分からないところを教えているがトラブルが心配。安全面をどうすればいいか、自分は何をすべきか考えた」と発言。閉校校舎の利用を紹介する記事を選んだ瀬戸志優さんは「花巻でも学校の統廃合が進む。うまく使えば地域の活性化につながる」との考えを述べた。

 発表一巡後、記事をノートに貼り回し読み。友人の選んだ記事に対する意見を付箋に書き込み交流した。

 自分のノートが手元に戻った段階で意見文の構想を練る。「構想メモ」に▼序論(主張)▼本論(自分の意見を支える根拠・具体例)▼本論(自分の意見と相反する意見の根拠・具体例)▼結論(主張)-の4項目を簡潔にまとめ執筆を開始。300字以上、25分以内が目標だ。

根拠を盛り込む

グループごとに、自分がスクラップした新聞記事について考えを発表し合う石鳥谷中の生徒

 主張を記した後、新聞記事やクラスメートの意見を参考に根拠や具体例を書き込み、最終段落で再度主張を強調する。藤田鈴々(りり)さんは、養父が娘を虐待死させた事件の公判記事を取り上げ「立場の弱い子どもを虐待し死亡させる行為は厳罰化が必要。(社会は)虐待についてもっと深刻に考え、二度とこのような事件が繰り返されないようにするべきだ」と訴えた。

 指導に当たった城内千賀子教諭は「生徒は難しい記事を選んだ。興味、関心に対し素直に挑戦し考えを深めている」と評価。新聞活用について「ニュースに触れることで視野が広がる。説明的文章の読解は情報に疎いと対応できず、新聞は有効だ」と説く。

 授業は、社説を比較して読み双括型意見文の書き方を学ぶ単元で11日に実施。社説の比較は8日、県教委の「学校における新聞活用推進事業・アドバイザー出前授業」として行われた。


「読む習慣」7割超 石鳥谷中生アンケート

 本年度NIE実践指定校の石鳥谷中は9月に1カ月間、新聞8紙を購読(購読料は日本新聞協会と各新聞社が補助)。その後10月にアンケートを実施した。3年生123人が回答。家もしくは学校で新聞を読んでいる人の割合は「読む」72%、「読まない」28%で7割以上が新聞を読む習慣があることが分かった。新聞を家庭でとっている割合は「とっている」69%、「とっていない」が31%。

 新聞を家庭でとっていて家庭で読んでいる割合は「読む」59%、「読まない」41%だった。「読まない」のうち「家では読まないけれど、学校では読む」人の割合が43%。新聞を家庭でとっていない人のうち60%が学校で読んでいる。同校は図書室前に新聞コーナーを設置し「きょうの1面」を毎日掲示。簡単に手に取って読める環境をつくった。

 読む記事のジャンルはスポーツに最も関心がある。多い順に①スポーツ②社会面③国際④政治⑤文化・芸能。

 記事に触れることが自分にとってプラスになると考えている人は99%に達した。理由は多い順に①世の中のことがわかる(41%)②読解力がつき、読むスピードが速くなった(37%)③語彙(ごい)力が増えた(13%)④文章構成が学べる(4%)⑤思考力を鍛えることができる(4%)⑥その他(先生が言っていた)(1%)。

 新聞を読むことについて自由記述を見ると「社会のことを知る良い機会」「自分の学力が向上するし自分のためになると思う」「今まで新聞をあまり読んでいなかったので、時間があったら読むようにしたい」などの回答が多かった。

 城内教諭は「思っていたよりも新聞を読んでいる人が多く、効果を実感し、プラスに捉えている」と分析している。


学習への波及効果実感 3年生が意見交換会

新聞活用について意見を交わす(左から)城内千賀子教諭、小島史優さん、小原和泉さん、菊池康一郎さん、瀬川菜月さん、佐々木珠奈さん

 新聞の活用について、3年の小島史優(しゅう)さん、小原和泉(いずみ)さん、菊池康一郎さん、瀬川菜月さん、佐々木珠奈(じゅな)さんの5人が意見交換した。司会はNIE担当の城内千賀子教諭。

 司会 普段、どんな記事を読んでいるか。

 菊池 政治、経済、科学、医療、何でも読む。家で毎朝15分、パラパラっと全体に目を通す。

 小原 政治や岩手の話題、野球の記事をよく読む。国会中継で与野党の掛け合いを見るのも好き。

 瀬川 私も政治に関心がある。政治の世界は質問と答えがかみ合っていないと感じる。

 佐々木 スポーツの記事を読んでいる。

 小島 学校で新聞を読んでいる。今はラグビーなどスポーツ記事が多い。

 司会 授業で新聞やワークシートを使い始めて1年半。何か変化はあるか。

 小原 語彙力がアップし、難しい漢字を読んだり書いたりできるようになった。

 瀬川 読むスピードが速くなり、文章題の長さが気にならなくなった。

 菊池 文章題のポイントがすぐ分かる。

 佐々木 作文がすらすら書けるようになり、文章題を何度も読み返すことがなくなった。

 小島 テストの点数が上がった。

 司会 文章題では最後に自分の考えを問われる。考えをまとめる力は。

 小島 授業の最後に感想を書くとき、すぐ取りかかれるようになった。

 小原 自分の意見をまとめてから他の人の意見を聞いて、さらに考えを深められるようになった。

 瀬川 小説を読むときも、なぜこうなるのか、主人公はどう考えるのか追求するようになった。

 佐々木 自分の考えを書くときに、主張だけでなく根拠を示して書けるようになった。

 司会 さまざまな記事を読んでいる皆さんから、社会に対して要望は。

 菊池 投票率が低いので選挙に行ってほしい。4年後に選挙権を得たら投票に行きたい。税金の無駄遣いも問題だと思っている。

 瀬川 人材を大切にする社会であってほしい。例えば、待機児童解消のために保育士の給料を上げるべき。少子化にも関わることだ。

 司会 NIEで情報を与えていると思っていたが、それ以上に自分で模索している。視野を広げ、関心がある情報をキャッチする力もつけている。