山田町船越の田の浜地区で20日、台風19号の豪雨で自宅が被災した住民が東日本大震災の仮設住宅への引っ越しを始めた。田畑実さん(89)夫妻は、震災で被災し約6年前に再建した住家が浸水。やっと取り戻した住まいを再び失った田畑さんは「これからどうしたらいいか分からない」と悲痛な声を上げた。

 田畑さんは同日、町から鍵を受け取り、一時身を寄せていた宮古市の長女夫妻と共に無事だった家具を仮設住宅に運び入れた。生活用品が整い次第、妻由貴さん(83)と共に引っ越す。

 台風19号の豪雨では、自宅2階に避難していたが、窓から外を見ると辺り一面が真っ黒な水に沈んでいた。「まさかこんなことになるとは」。自宅は1階天井付近まで浸水し、大半の家電や衣料は廃棄を余儀なくされた。

 震災でも自宅が被災し、仮設住宅で暮らした。約6年前にようやく自宅を再建し、夫婦2人で年金を頼りに生活していたところでの被災に、無力感が押し寄せる。「もしもっと若ければまた家を建てたり、別の場所に土地を探すこともできた。これからどうしたらいいかな。このまま仮設住宅でもいいんじゃないか」と、ぽつりとつぶやく。