台風19号被害により各地で住民の避難生活が続く。心身の疲労も増しているだろう。災害時には男性と女性、年齢などで受ける影響に違いがあり、支援ニーズもまた違う。高齢者や障害者、乳幼児ら要援護者に対し、適切な配慮やサポートが求められている。

 着の身着のまま避難する人も多い。避難所となった公民館や体育館で固い床にシートや薄いマットを敷き、毛布にくるまる人々。冷え込みが一段と厳しくなる中、体調が気掛かりだ。少しでもストレスを減らせるよう、間仕切り設置などプライバシーの確保も急ぎたい。

 台風19号接近を前に、政府は「女性や子どもに安全・安心な環境づくり」を全国の自治体に要請している。

 ニーズの違いを踏まえた避難所運営がされているだろうか。授乳室や男女別のトイレ、物干し場、更衣室などは切実な問題だ。また、避難所の管理責任者や、衛生用品や肌着などの物資配布担当にも女性を配置するよう求められている。

 非常事態に乗じた、女性や子どもに対するあらゆる暴力も防がなければならない。就寝場所や専用スペースの確保といった対応を徹底する必要がある。女性らが困難に陥った過去の経験から学び、避難生活での安全・安心の「質」を高めてもらいたい。

 避難所の運営管理を担うのは男性、女性は食事作りや清掃といった役割が固定化した避難所も多かった。東日本大震災を機に、災害・復興への取り組みに、男女共同参画の視点を導入する必要性も議論が進んだ。女性らが「主体的な担い手」として災害対応に果たす意義は増している。

 現実はどうだろう。県央部に暮らす女性は「町内会自体が男性社会。防災士の資格を取ったが、地域の中で生かせていない」と残念がる。

 一方、沿岸部の女性は、今回の台風に伴い、地域の要援護者の避難対応を巡って、行政との連携に疑問を感じた。「高齢者らの状態も日に日に変わる。いざという時にどうするのか、もっと真剣に考えておかなければ。行政に頼れないということも教訓になった」と危機感を募らす。

 例えば、炊き出しやテント張りなど、性別による固定的な役割を交代して訓練を行う地域もあるという。そこから新たな発見もある。また、市町村や地域の防災体制に女性の参画を促すことも、課題の掘り起こしにつながろう。

 災害は、社会のありようをいや応なくあぶり出す。平常時からの備えは当然として、女性、子ども、高齢者、外国人ら多様な視点をどう生かしていくかが問われている。被災のさなかの今、「次」に備えなければならない。