政府が掲げる2020年4千万人、30年6千万人という訪日外国人客の受け入れ目標の達成に向け、観光地域づくり推進法人(DMO)への注目が高まってきた。

 観光庁が15年に始めた日本版DMOの登録制度で現在、県内の登録または登録候補の法人は計6つ。本県への観光客は東日本大震災以降、沿岸部などで落ち込みを回復できていない。国内旅行者にも訴求する魅力ある観光地づくりのため、DMOには従来の手法にとらわれない大胆かつ効果的な誘客が期待される。

 DMOが目指すのは「観光で稼げる地域づくり」。観光協会などと異なるのは、観光に関するデータを収集・分析する専門性を持った人材を置き、裏付けのある誘客を重視する点。いわゆるマーケティングの徹底だ。

 不特定多数への漠然としたPRから脱し、過去の来訪者の年代や性別、目的などを細かく精査しターゲットを設定。調査は体験プログラムやツアーコースの開発のほか、会員制交流サイト(SNS)の活用などターゲットに適した売り込みにも生かす。

 8月現在の国内の登録状況は登録136、候補(設立予定含む)116の計252法人。県内は4法人が登録済みで、例えば八幡平DMO(八幡平市)は個人の外国人客を増やすため自然を生かした新発想のプログラムや2次交通の整備に挑戦。宮古観光文化交流協会(宮古市)はご当地グルメ「瓶(びん)ドン」を開発し、着実な普及を見せている。

 課題の一つが宿泊や飲食、交通など既存の観光事業者との協力関係づくりだ。DMO制度は一般になじみが薄く、母体も自治体や観光協会、新しい民間組織とまちまち。マンパワーは限られ、取り組みが目新しいほど地域の事業者を巻き込む労力は増える。

 自治体や観光協会が母体の場合は公平さを意識するあまり取り組みが総花的になったり、行政の下請けにとどまる懸念がある。

 登録制度の利点に財源の手当てが挙げられる。地方創生の交付金など補助金に運営費を頼るDMOは少なくない。制度の目的を踏まえて公的支援は当然としても、くれぐれも単なる補助金の受け皿で終わらぬよう自主財源の確保に努める姿勢は欠かせない。

 DMOの必要性を巡っては自治体間に温度差がある。DMOが観光に有益な存在として認知されるには、先行する法人が経営を安定して継続し、目に見える誘客の効果を示すことが分かりやすい。

 何より地域が広く観光で潤える仕組みづくりの中核として、不断に人材や情報の分析・発信、企画、相互調整など組織の総合力を高めていくことが肝要だ。